暗渠パラダイス!のみどころ その2
「その1」を書いてから1ヶ月以上経っていて、我ながらビックリ。
コロナで「暗渠パラダイス!」関連のイベントがどんどんどんどんなくなっていって、それはとてもかなしいことだったのですが、あれ、もしかして少し時間ができるかも?とも思ったのが3月下旬。ところが本業関連で次々いろいろなことが投げかけられてきて、瞬く間に息つぎができなくなり、気づいたら今でした。
というわけで、息つぎ。
ふぅ。
気づいたので、再開します。
暗渠パラダイス!のみどころ その2 は、ブックデザインのこと。
編集さんから、頼もうと思っているデザイナーさんは、「東京ヤミ市酒場」や「春画を旅する」のブックデザインを担当した人(MO' BETTER DESIGN)ですよ、と聞いたとき、その2冊のイメージが眼前にぱあぁっと浮かんだ。どちらも印象的だったからだ。かわいくやさしい色使いが、ヤミ市や春画というモチーフと不思議に融合するデザイン。あの2冊のデザインは同じ人だったのだ!合点がいった。そして暗渠の本も手がけてもらえることについて、安心感と期待感をもった。
暗渠のイメージや思いを共有してもらったり、デザイナーさん(=中村さん)の考えをきかせてもらったり。帯にはいろいろな暗渠写真を使いましょう、ということになって、たっくさんの暗渠写真をお届けしたり。そんな日々を経て、
できあがった表紙。
中村さんこだわりの蛍光ピンク(オレンジ?)色は、写真に撮るとうまく出てくれなくて、手にとっていただいた方だけが知っている、微妙かつ絶妙な色合い。
印象深い「暗渠」の文字。(車止めをイメージした?と訊かれるけれど、車止めに見えるのは偶然だそうです。)
帯の表側に選ばれた暗渠は、板橋区のあの暗渠。あの暗渠の中でも、この場所が大好きなんです。
帯をめくると、
こんな景色が出てきます。細い暗渠みち。思わず引き寄せられてしまうような。
そして裏側は、
うつくしきクネクネ蛇行みち。
実は著者ふたりとも、この表紙・裏表紙に元ネタがあることに気づいていませんでした。
発売後に中村さんと話して初めて、大量にお送りした暗渠写真のうちの2枚をモデルにしたことがわかり、それだけでも興奮したものですが、表紙が高山氏にとって思い出深いある暗渠で、裏表紙は吉村が去年・一昨年と非常にお世話になった(だいぶ通った)墨田区の水路跡でした。
どちらも自分たちにとって縁のあるもの、しかも、取り上げられ方のバランスがすばらしすぎて、偶然とは思えないほど。あまり縁はないけれど、明らかに見た目が立派な暗渠写真も送っていたので、中村さんのセンスのみならず嗅覚みたいなものに、脱帽でした。…なんだろう、われわれ素人が記録として撮っただけなのに、対象物への情緒や熱意まで、相手に伝わることってあるんだろうか??いまでも、不思議です。
そしてこれらの表紙を一枚めくると、青と黒の、ダークな暗渠のすがたが出てきます。「一枚めくっただけで、全く違うものがあらわれる」という、暗渠の性質をこんなふうに表していただいたのでした。
そして今度はページをめくろうとすると、暗渠への入り口、マンホール蓋が出現。
目次に到達する前に、たくさんの暗渠成分が読む人を暗渠に誘おうとしている。この重なりあう地層もまた、暗渠のようで。…中村さん、見事に表現してくださって本当にありがとうございました!
もしも「暗渠パラダイス!」を読まれる機会があるならば、あるいは、読んだけれどデザインをあまり見ていなかったという場合には、ぜひ表紙から、じっくりと見ていただければ、と思います。
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