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滝の川 湧き出る水を感じる旅 暗渠カフェで暗渠ソング(2)

Sammy’sさん、スーマーさんとの出会いを、前の記事に書いた。

1回目のライブ前座後。お客さんが、あのお店のご主人だったら川の話知ってるかもよ!と、商店街のお店の人と縁をつないでくれた。Sammy’sはお客さんとの距離が近いので、こういう、奇跡みたいなことも起きたりする。

後日そのお店にゆき、インタビューをした。なんと店主は、店の裏側に通ずるドア(「路地ドア」と名付けている人もいるアレ)を通してくださった。その奥に続く、極めて狭い路地を抜けると、そこに、Sammy’sに入っていく直前の滝の川支流の蓋があった。誰も立ち入ることのない空間だ。

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Img_7749 大事に踏みしめ、コンクリートの隙間を眺める


六角橋の滝の川が、だんだん自分と近くなる。辿るだけでもじゅうぶんおもしろい暗渠なのだが、地元のひとの情報が入ることで、グッと魂が宿って見えてくる。

さて。今回は、2回目のライブ前座トークでおこなった、滝の川の湧き水のお話を文章にしてみたい。

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滝の川は場所により、暗渠化前はドブのようだったかもしれないけれど、そんな時だって水は淡々と湧いていた。いまも湧いているものもあるし、枯れてしまったものもある。
湧いた水たちは、小さな流れをなし、滝の川に合わさる。
湧水を探すことは、そんな小さな“滝の川の子どもたち”に、思いを馳せることでもある。

東白楽ー白楽。いくつかの湧水を、探しに出かけた。

ひとつめ。
東白楽にたくさんの人びとを救った湧き水がある、という。それは「とうよこ沿線」というwebサイトに載っている(ここは資料として大変にすばらしいサイトだ)。
塀から水が湧き出ている、というもので、関東大震災や横浜大空襲のさいに、避難する人の飲み水として活躍したそうだ。湧水自体は「とうよこ」の取材時にはまだあり、しかしそこからの流れは(洗車をする人が現れたり、大腸菌が出たりしたので)塞いだ、とある。


現在は、どうなっているだろう?
東白楽駅で降り、すぐ東に迫る斜面に向かって歩く。

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湧水の名残をもとめ、崖下を丹念に見ていく。すると、側溝を透明な水が流れていた。

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ああ!川だ!いまでも湧いているんじゃないか。滝の川のミニミニ支流だ。
サッ、と、同行していた暗渠ハンター氏が水質を測りだす。結果は、忘れた(わたしはもっぱら、水質測定中の某氏を冷やかして遊ぶだけなのだ)。

すぐそばにあるビルの店舗の方が、近づいて来られた。怪しいと思われたのか(そりゃ思われるよな…)。行動のわけを説明する。この付近の湧水を見にきたこと、暗渠が好きなこと。そうしたらその方は、なんと本を出すほどの街道マニアのご家族で、(なんの親和性か?)アッという間に話が通じ、目指す湧水の場所や詳細も教えてくれた。
白楽近辺、ふたたびの奇跡のような巡り合わせである。

見たい湧水の出口は、下手をすると気づけないくらいに、埋められ、塞がれていた。めり込んだぬりかべを思わせるその風体。水抜きのパイプは、井戸が埋められた残骸と似ている。

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かつては湧水のつたうパイプがここまで引かれ、塀はくり抜かれて、水の出口になっていた。昭和62年の写真では、そんな姿が残っている。

水は意外と奥まったところから湧いていた。先ほどのお店の方から教えていただいた水源のあるお宅は、水の出口の塀よりも、4軒ばかり裏にあった。崖下、樹々のたっぷりあるところで、今も湧いているに違いない、と思った。そしてそこから、旧道沿いまでパイプで水を届けていた、ということに、施工主の慈愛の精神を強く感じる。
災害時に人びとを救った話は偶然ではないのだ、たぶん。なるべくしてそうなったのだ。

この慈愛に満ちた湧水の痕は、滝の川と目と鼻の先のところにある。

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近いけれど、流路上ではないから、単に滝の川を歩くだけでは見逃してしまうだろう

 

ふたつめ。
次もまた、「とうよこ沿線」から得た情報である。今度は「御膳水 」という立派な名称つき。

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昭和18年の地図ではため池ばかり見てしまうが、よく見ると御膳水、という文字がある。

ため池は、横浜時層地図を見ると、年代により大きさが変化するだけでなく、ちょいと場所が変わったりと、揺れ動いていてどうも気になる。
そして斉藤分町のこの、細くて良い表情(かお)の谷が堪らない。「良い表情(かお)」と、食物や建物に対していう人がいるが、谷に使ったっていいと思う。この谷は、そんな谷だ。

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すごく、いい

 

谷に入り、御膳水の位置を探る。実はこの湧水、所有者の名前はわかるのだが、正確な場所がいまひとつわからない。所有者はここらの地主のようで、何軒かその名字の家がある。そして明確な湧き水スポットのようなものは、ない。
推定した場所はここ。民家なので、入ることはできなかった。

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気を取り直して、この良い表情の谷、斉藤分町の水の流れを追おう。

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良すぎる…

しかし残念、入れない。反対側に回る。

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うーん、これまた最高だ

支流もあった。

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かつては製氷会社もあったようだ。御膳水の水面を見ることはできなかったが、こんなふうに、流れの痕跡はくっきりとあった。

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滝の川本流に対する位置関係は、こんな感じだ

 

みっつめ。
吉祥寺にも湧水があるらしい。寺の敷地を外から見ると、すでにじわりと湧いていた。

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これでも十分うれしいのだが

門が開いていたので入る。

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たまたまお掃除の人が来ていただけで、普段は閉めているのだそうだ。湧水の話をしたところ、そのお掃除の方が、なんと、水源に案内してくださった。

白楽近辺でみたびの奇跡が起きたのだ。

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写し方のせいでよくわからないと思うが、1、2枚目は湧水口に設置された井戸。
3枚目は、井戸からすぐのところに導水された池。透き通った水の中を、金魚が泳いでいた。

この密やかな湧水池といきものは、人目に触れることなくここにずっと存在している。

その湧水の出口と、わたしたちは門前の道を白楽駅方面に歩いたここで、出会うことができる。

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ここは道端なのでいつでも見ることができる。水源の井戸、池を通過してきたパイプからは、常時水が流れ出している。
実は他にもパイプはあって、雨天時しか水が出てこないものもあり、どこにつながっているのか、そのお掃除の人もよくわからないとのことだった。

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ここもまた、滝の川本流から少し距離があるが、この界隈で最も見応えある湧水ではないだろうか

 

他、近辺にはこんな風に、ジワリと湧いている場所もある。

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•保育園の方にも湧き水はあった
•かつてはあちこちで湧いていたのでは?
ということも、教えていただいた。

白楽ー東白楽は、あちこちに湧き水のある街だったのだ。

いま、どこにも川はない。けれどこういった水の流れを想像しながら、滝の川を歩くのもいい。それから、「我々が今いるところと、あそこやあそこが、水でつながっている 」と、場所どうしのつながりを感じながら、暗渠カフェで「おいしい水」を呑むのもいい。わたしたちの体だって、ほとんど水のようなものなのだし。

 

2回目の「泥水 カラオケバージョン」に使ったスライドはこちら。コンセプトは「地方の暗渠」で、北海道から南下するという流れで配置。

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こちらのページから、スーマーさんの歌声をぜひ聴いてください。投げ銭もできます。

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Sammy’sさん、5/29から再開されるそうです。嗚呼…よかった!

 

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