金太郎計測
今回は、「わかるひとにしかわからない度」が、非常に高い記事の予感。
しかし、どうしても調べたくなってしまったのです。
しかし、どうしても調べたくなってしまったのです。
そのきっかけは、「阿佐ヶ谷暗渠マニアック!」の講演準備中、最近見返していなかった資料たちに久しぶりに目を通したときに現れたコレ。うっとりするような若々しい金太郎(注)がいたのでした。

(”高円寺 村から町へ”より)
注:車止めは暗渠サインのひとつですが、かならず暗渠上にある、遊歩道と書かれた”杉並区オリジナルの車止め”というものが存在します。描かれたイラストが、熊&またがりまさかりをかついだ金太郎なので、諸々省略して「金太郎」と呼んでいます。
古くなり、どんどん姿を消してゆく金太郎。おそらく30年ほど前の写真で見ると、今見るよりもずっと真新しいので、見入ってしまいました。そして、ふと、あることに気が付きました。
・・・パネル部分の外枠って黒かったっけ?

よく見る金太郎は、こんなふうに、最も外側は白いはずなんです。黒枠の金太郎なんて、いたかな・・・
手持ちの写真を調べてみると、いたいた!一体だけ、いました。

六ケ村分水、今川支流(仮)上にある金太郎。
これは黒枠だし、最初の写真と同一のパネルのようです(設置場所は違います)。
この今川の水色金太郎は、多くが赤か緑のなか「水色」というだけで(あとから塗られたものでしょうけれど)かなりのレア金太郎だったのですが、「黒枠」という点でもレアという、本当に希少種であることが判明した、というわけです。
この今川の水色金太郎は、多くが赤か緑のなか「水色」というだけで(あとから塗られたものでしょうけれど)かなりのレア金太郎だったのですが、「黒枠」という点でもレアという、本当に希少種であることが判明した、というわけです。
さて、この白枠と黒枠、どうしてこのような違いが出たのでしょうか。
・車止め自体のサイズが違うため、トリミングして使われている
・使用年代か何かの違いにより、異なる業者が製造している
仮説はふたとおり挙げることができましょう。
まずは、1つめの仮説を検証するため、計測しに行ってきました。

今川の黒枠金太郎。横は内径45センチ、外径55センチ。縦は内径60センチ、外径70センチ。
次、白枠の金太郎。

小沢川支流上流端にいる金太郎。この真新しい緑色も、珍しいですね。
測ってみると、横は内径45センチ、外径55センチ。縦は内径60センチ、外径70センチ。おお、黒枠さんと同じサイズでした。
念のため、もうひとつ別な暗渠で測ってみましょう。

桃園川北側流路(仮)の金太郎。
横内径45センチ、外径55センチ。縦内径60センチ、外径70センチ。うん、どうも、統一された規格があるようです。
ちなみに、この金太郎は顔が剥がれてしまっているので、もっと状態の良いはずの、上流部分のものを見に行きました。

と思ったら、いつの間にかなくなっていました。ああああああ・・・・・

阿佐ヶ谷は松山通りに面するところ。少し前までは、こんな風に鎮座していたのですが。
はぁ、残念。やっぱりどんどん失われていっていますね。
ところで、

よく見るともう少しだけ、違いを感じませんか?

・・・ほら。
並べてみると、

うわぁ、顔、めっちゃ違う!!
ほかにも、細かいところが微妙に微妙に違っていて、

もうこれは、違う人が描いたものといってよいでしょうね。
そして、違う業者さんに委託したと考えていいのではないでしょうか。
さきほど2つ掲げた仮説のうち、
・使用年代か何かの違いにより、異なる業者が製造している
こちらは残され、次なる検証をする必要が出てきました。検証材料としてなんの資料に当たればいいかは見えているのですが、結構時間がかかりそうなので、第一の検証はひとまずここまで。
白枠とか黒枠とかいうのもちょっとややこしいので、
「細眉金太郎」→杉並区に置いて現在ほとんどのシェアを占める白枠のほう
「太眉金太郎」→現在非常にレアになっている、黒枠のほう
と、眉で呼び分けたいと思います。
で、あちこちにある金太郎、ほんとに細眉でしょうか?・・・確認してみましょう。

さきほどの、桃園川北側流路(仮)の剥がれちゃったやつ。
この金太郎だってよく見ると、

おおー、眉だったら片方だけ残ってるよ!!ヤッタ!
でもって、細眉金太郎でした!YEAH!

井草川にある、後ろ向き君はどうでしょうか。

ああ、やっぱり細眉だ。
先日の展示用につくった金太郎顔ハメパネルはどうかな~?

おお。意識してなかったけど多数派だった。細眉金太郎だ。
ではでは、昨年作った、金太郎焼きゴテは・・・?

ああっ、なんと、眉が無い!前髪の切れ込み具合は太眉金太郎っぽく見えるけれど、これは珍種の眉無し金太郎だ・・・!

この眉無し金太郎、オズプラスのパン特集号にもちゃっかり載せていただきました。
はからずも、太眉くんと細眉くんがケンカしないですむ結果に。

まあ、そんなこんなで、もう見尽くしたと思った対象にも、まだまだ秘められた奥深さがあるということを実感したのでした。
さあ、設置年度の検証等、つぎの作業もたのしそう。ですが、それはまた少し先の機会といたします。
この1年の間にも、少しずつ減っている金太郎。次歩くときは、眉毛の太さを確認したりなど、してみてはいかがでしょうか。
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コメント
nama様
はじめまして。岡田英昭と申します。
アドレスが分からず、twitterもメッセージ送信ができない為、こちらのコメントにて失礼いたします。
私も中学の頃に暗渠に興味を持ち、貴ホームページにおけるレポートをいつも楽しく読んでおりました。
私も何か自らの中小河川や暗渠に対する愛を表現する場を探していたのですが、この度このようなホームページを作ってみました。
武蔵野台地の湧き水復活を考える ~外環道の開通を控え~
https://shakujii-wakimizu.amebaownd.com/
湧水が枯渇した中小河川について「このままでいいのか!?」という疑問から、改めてかつて豊かな湧き水があった武蔵野三大泉を中心に、その具体的な復活へのアプローチを考えることで、河川と共存していこう!というサイトです。
まだまだ執筆中で完成しておりませんが、特に現在、武蔵野台地の標高50m付近は外環道の開通が計画されており、それがかなりの確率で砂礫層を分断するのではないかと個人的には危機感を覚えており、そのあたりの検証もいずれは行っていきたいと思っております。
中小河川を愛するものどうし、リンクの許可をいただきたく思います。
また、もし可能でしたら相互リンクしていただけたら幸いです。
宜しくお願い致します。
岡田
投稿: hidephilax | 2016年6月19日 (日) 13時15分
岡田さま、お返事がおそろしく遅くなってしまい、申し訳ありません。
暫くブログの更新ができないでいたように、他の方のブログもほとんど見られない状態が続いております。もし時間ができたなら、拝見させていただこうと思います。リンクについてはかまいませんが、こちらから貼る=整備することには、いましばらく時間が要るかと思います。ご無礼おゆるしください。
投稿: nama | 2017年4月 9日 (日) 23時09分
僕は新型コロナウィルスによる緊急事態宣言の発令で暗渠化された支流を歩きました。杉並区内は残念ながら流路を見ることが出来ないのです。どうして蓋をされたのか不思議です。自粛続きで他の移動は出来なかったのでとても無念でした。もし僕は昔に生まれていたら桃園川や井草川、玉川上水や千川上水、小沢川の流れや他の支流を見ることが出来たかもしれません。東京の多摩地域の用水路や河川は開渠となってるので流れを見ることが出来ます。ゴミを捨てたり排水を流したりしたら罰せられ、警察に通報されます。
投稿: タクロウ | 2020年8月 8日 (土) 22時25分