暗渠マニアック!刊行のお知らせ
わたしの興味の幅は、たいへんにせまいのです。
縄文海進、とか、江戸の町づくり、など時代が遠いものは、考えようとしてもぼうっとしてしまいます。
常に低い谷筋を歩いていたくって、台地上を歩くと眠くなってくることがあります。上水だって暗渠の仲間ですが、、、
それから、本業ではこれが専門と標榜できる領域があるけれど、暗渠に関連するような学問については、つねに素人です。地形や地質、あるいは歴史のことも。恥ずかしいほど知らないことばかり。
けれど、興味を抱いた事柄については、猛烈な熱量でかかわるときがあります。
そんな偏りの大きなわたしですが、わたしらしく書いていいと、声をかけてくれた方がありました。こんなにありがたいことはありません。しかし、常に一人遊びをしているだけ、みたいな自分。わたしらしく、だけど、ある程度多くの人に伝わるようなかたちにするには、どうしたらよいのだろう?
あれこれ考え、でてきたのが今回の形です。共著者の高山さんは、わたしの視点では物足りないと思われる部分を、ちょうど補うアプローチとファン層をもっていました。同じテーマに対し異なる書き方をするので、並べてみるとなんだかおもしろいのです。高山さんに書いていただけて、本当によかったと思っています。
勿論、たくさんのかたがたに目一杯お世話になってこの本ができたことは、いうまでもありません。
柏書房の山田智子さん。この本を産み出してくれたかたです。やさしく柔らかな雰囲気を持ちながらも、校了まえの過酷な時期に粘り強く、最後まで丁寧にお仕事をしてくださいました。わたしの遅筆なくせに細かいこだわりが有るところ、さぞご迷惑をおかけしたことでしょう。。
地図は、杉浦貴美子さんと深澤晃平さん。スリバチ学会に最初に参加したときに、出会った最強のふたり。その後さまざまな書籍で素敵な(すごく好みの)地図をつくられているのを見つづけ、・・・こんな日が来るとは、と感無量です。幾度も精密な検討をしてくださって、とっても個性的な地図を生み出してくださいました。地図の可能性や多様性は、想像以上でした。
デザイナーの加藤賢策さん、内田あみかさん。表紙の紙質、色、デザイン、地図のアイディアまでも、とにかくかっこよく、そしてかわいく、つくってくださいました。仕上がったものは想像以上にすてきで、作品が送られてくるたび歓声で、お願いして本当によかった、と、毎回思っていました。
信念も芯もある、そしてセンスと力のある、素晴らしいかたたちと一緒に仕事ができて、幸せだったなあと思います。
本文だって独力でできたわけではありません。わたしと西荻を再度つなげてくれた、さくらいようへいさんのイラスト。暗渠好きになった初期のころから、憧れていた下水道写真家の白汚零さんの写真。インタビューに応じてくださった、たくさんのひとたちからの情報。暗渠の先輩がたから、教えていただいたさまざまなこと。やっぱり、感謝は尽きません。
第一章は、わたしと暗渠の関係を書いただけのものですが、第二章以降では、いくつかの暗渠を主人公としたものがたりを、吉村セクションでは連ねています。共通テーマのほか、裏のテーマももうけ、それに沿って小さな情報を繋ぎました。本ブログで書いたことも含まれますが、大幅に書き直しており、ここでは触れたことのない、書下ろしもあります(実は書下ろしのほうが書きやすかったです)。
暗渠の辞書として川の地図事典、暗渠の教科書・ガイドとして東京暗渠散歩。そしてこの暗渠マニアックは、暗渠の 読みもの みたいに、なったらいいなあ。
読み返して、おもしろいと思える時もあれば、こんなの誰もおもしろがらないのではないか、と思う時もあります。どういう反応があるかわかりませんが、もう印刷に入っているから、 覚悟をしなければなりませんね。
長くなりましたが、暗渠の本を書きましたというお知らせでした。
冷やかしでも良いので、ちらりとでも、手にとっていただければ幸いです。6月25日の発売です。
すべての、かかわってくださったみなさまへの、感謝を込めて。
柏書房さんによる紹介ページ(購入もできます)
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