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首都圏外郭放水路調圧水槽見学

かねてより行きたいと思っていた、春日部の首都圏外郭放水路特別見学会に行ってまいりました(Uちゃん、情報ありがとうございました!)。
特別見学会。ありがたい響きです。

首都圏外郭放水路とは(ここをご覧になる方たちはみなさんご存じだと思いつつも)・・・当ブログのおすすめ本にも載っている「ニッポン地下観光ガイド」の説明を要約すると、

春日部周辺には小さな川が多く、しばしば氾濫していたため、それを防ぐために地下につくられた人工の川(立坑およびトンネル)と水槽。水槽=調圧水槽といい、地底湖のようなイメージで、地下25mほどの深さに、長さ177m、幅78mの、サッカー場がすっぽり入るほどの空間である。

といったもの。タイトルにもあるように、首都圏外郭放水路見学、というのは現在、この調圧水槽見学、と同じことだと思います(トンネルの見学はできないので)。

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これは現地にあった地図ですが、たしかに数本の川が平地に並んでいます。断面にすると、中川~綾瀬川の部分は”皿のような地形”であり、水が溜まりやすいのだそう。皿の部分を蛇行している川の名は、綾瀬川、元荒川、大落古利根川、倉松川、中川(幸松川、第18号水路、などもみられる・・・気になる名前がいくつかありますが、置いといて)。その更に外側、見沼代用水と江戸川のあたりまでくると、灰皿の上みたいなかたちになっています。

外郭放水路は写真の赤い部分にあります。”皿部分”の水路沿いに5つの立坑をもち、それぞれの水路で水位が上昇し越流堤を超えた場合、その水は各立坑に流入。地下を結ぶトンネルを通り、調圧水槽でストップします。そして調圧水槽で水勢を弱め、スムーズに江戸川に吐き出すのです。(こんな風に文章でグダグダいくより、ここの動画を見たほうがカッコいい!第三立坑のドロップシャフトがとくにカッコいい!)

すべて、地下での出来事。もともと地下ものが好きな自分としては、暗渠趣味より前から行きたかった場所でもあるのですが、平日に行けないわけでもないのだけれど、事前に予約するのが面倒くさい。そして遠い、遠すぎる・・・。この2つがネックとなり、行けていませんでした。
なので、この特別見学会が、しかも暗渠さんぽに行きたくならないような微妙な天気の日に行われて、とてもありがたかったのでした。

久しぶりに東武線に乗り、南桜井駅で降り、バスで向かいます。バスで向かう道の隣、とても引込線跡っぽかったけど、よくわからず。社会科見学好きそうな20~30代の人たちや、お祭り目当ての家族連れなどを乗せ、満員バスがゆくよ、ゆくよ。

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バスを降りると、目の前にもう庄和排水機場がありました。左を見れば、放流口もありました。すべてが、どでかい・・・。

この下に、調圧水槽で溜まった水をゆるやかに排出するための機械があるようです。どうやら、ガスタービンを使ってポンプでくみ上げる、つまりポンプ所と同じ構造になっているようでした。

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そしてシールドマシン時計(の、奥に見えるのが放流口の水門です、たぶん)。
首都圏外郭放水路トンネル工事で使用したシールドマシンの面板だということで・・・いやぁ考えたもんですねぇ。高原にある花時計みたいに輝いていますねぇ!

これまで、トンネル工事見学で使用中のシールドマシンは見たことがありますが、こんなふうに加工されたものは初めて見ました。日比谷共同溝工事では、任務を終えたシールドマシンの面板はバーナーで焼き切られ鉄くずになった、ということなので、このように保存されているのは、なんとも素晴らしき事哉。・・・みうらじゅん&山田五郎の男同志という番組のキーワードに「シールド工法」を投稿したことがあるくらいには(そして不採用)、好きです、これ。

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ざくざく歩いていると、お祭りの会場に出ます。特別見学会の日は、地元のお祭りと一緒なのです。混まないように開始間もない時間にやってきたので、このお祭りのにぎわいはまあまあ、という感じでしょうか。

Gaikaku4

案内板がありました。
1つ前の写真は、この案内板のほぼ「現在地」で撮っています。つまり、お祭り会場の真下が調圧水槽というわけです。

うほほ・・・お祭りで何か食べる前に、調圧水槽の見学に行くとしましょう。いざ、この地下へ!

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ここが、地下への入り口。

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ぐるんぐるん、かくんかくんと降りていきます。

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地底にたどり着きました。思ったほど潜る感じではなかったです。

さあ、「地下神殿」ともいわれる空間が、すぐそこに・・・!

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AP+0.173。

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ほんとうは水しか入れない場所に、人がこんな風に居る不思議。

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柱に残る模様。
生ビールを上手に飲んだとき、ビアジョッキに残る泡跡のよう。

・・・きっと、そんな風に規則的に水を排出している、おりこうさんの跡。

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ここらへんまではよく水が来るのかな。

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床にも跡。これは清掃の跡(わからない)?

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水の跡。

最近溜まった雨水なのかもしれないけど、横から浸み出している地下水に見えなくも、ない。

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あそこを人が歩くことはあるのかな。

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立坑が出現。
前述のように立坑は5つあるのですが、そのうち「第一立坑」だけは、この調圧水槽に横付けされており、見学時に見ることができます。

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雨で溢れ、向こうの立坑に溜まった水が、ここから入ってくるわけですね・・・。

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この階段の存在感といったら。
ここを人が下りることは、あるのかな。

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一段上のところ。土が規則正しく溜まっていました。この土がなんなのかは、謎です。

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中の雰囲気は・・・たしかに非日常的で、よかったのです。が。
正直、これまでステキすぎる写真を見て、ステキな妄想を繰り広げすぎてしまったのかもしれません。前掲書では”ある人はギリシャのパルテノン神殿を連想するかもしれない”とまで書いてありましたが・・・期待しすぎてしまったのでしょうか、パルテノン神殿は実物を見ましたが・・・ごにょごにょ。自分としては、地下もので比較すると、大谷石採掘場のほうが神秘ポイントは高いかなと思います。材質や暗さの違いなので、人によると思いますけどね。。

ともあれ、配られた資料によれば、ここは今までに73回の稼働実績があり(大体年に5~10回)、水害の減少に貢献しています。もっとも多かった時の排水量が、”日本全国にある小学校のプールの水を集めた量とほぼ同じになるよ!”などと書いてあり・・・いやはや、規模がデカすぎてよくわかんないけど、それってすごいんじゃないだろうか!

で、また階段を上って外に出て、

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調圧水槽の上で、よさこいソーランをききながら、野菜たっぷりヘルシー鍋と、コロッケとおにぎりを食べました。
でもね、手打ちそば、焼きそば、焼き鳥に揚げ物・・・いろいろとおいしそうなものはあるのに、アレが無いんです・・・アレが。お祭りなのに、アレが。なので、アレを求めてこの後、武蔵野線で延々ある場所に向かうことにしました。
内容的には全然関係ないけれど、次記事に つ づ く。

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コメント

こちら、「夏でも涼しい」と言われている場所でしたっけ・・・?一度、訪れてみたい地ではあるのですが、何らかの手違いで地下に水が一気に流れ込んできたらどうしようと思い(ネガティヴ)、二の足を踏んでおります。

次の記事の、店内を貫通する蓋、気になりますね!
チラッチラッ、ときっと自分も落ち着かない心境になっちゃうと思います。

投稿: 谷戸ラブ | 2012年11月26日 (月) 14時03分

>谷戸ラブさん

こんにちは。
うーん、たしかに夏は涼しいだろうと思いますが、どれほどかはちょっとわかんないです;(自分が想像していたほど地下深くはなかったので。って、ポンプ所とかに潜りすぎなのかもしれませんが。) ここより大谷石採掘場のほうが、清涼感?があり、水が流れ込んでくる恐れもないので、安心して見られるかもしれません。

店内の蓋、ちょっとびっくりしますよね・・・チラって書きましたがほんとは凝視してましたw

投稿: nama | 2012年11月26日 (月) 18時04分

素敵なブログでですね!
写真から内部の様子が生き生きと伝わってきます。
今年の特別見学会は是非参加したいと思っているのですが、かっぱ汁・蕎麦以外でオススメの屋台ってありますか?あと、アレがないと仰ってますが、もしかしてのどごしがたまらないアレですか?w

投稿: Tomo | 2013年10月27日 (日) 22時19分

>Tomoさま

コメントどうもありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。
おススメ屋台ですか・・・ぜんぶ見てまわりましたが、食べたのは少しなので、味の情報がありません、すみません。汁ものはどれもおいしそうで、迷いましたね~。所謂お祭りの屋台よりも地方グルメっぽいものが多いので、未体験のものを食べてみるのも面白いかもしれません。
そうなんです、のどごしがたまらないアレもなかったし、アルコールが一切ありませんでした!なのでかわりに(?)、おにぎりを食べたのでした。

投稿: nama | 2013年11月10日 (日) 10時59分

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