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サクシュコトニ川エスカロップ

わたしの中学校の修学旅行は、北海道でした。
そのときに「好ーきーですー、サッポロー」の歌を、バスガイドさんから叩き込まれたため、今でも札幌に行くと、しばしばその歌が脳内リピートで流れてしまいます。・・・だから今回は、ときどきその歌が流れながらのさんぽ。

好ーきでーすだーれよーりもー♪

出張で札幌に行ってきました。北海道大学。入った途端に、この親水空間!

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ここは、野川公園!?

・・・ほかにも、構内に水辺がいくつもいくつもありました。ただし、最初の印象は、ただそれだけ。

札幌市内は、ほとんど碁盤の目であり、地形もあまり凹凸があるようには思えないので、実のところ暗渠にはそれほど期待していませんでした。ただし、駅名を見ると、川に因みそうなものがときどきあります。何か支流暗渠のようなものが見つかりはしないかと、ふらっと「中の島」という駅で降りてみました。

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中の島、という地名から想像するのは2つの川に挟まれた島か、湿地帯のような場所です。じっさい、中の島は、札幌を流れる大きな川、豊平川と、その支川である精進川の間の島になっているように見える場所でした。
これが、精進川です。

それから、駅前の地図に「水産庁北海道さけますふ化場」とか「独立行政法人さけ・ます資源管理センター」とか載っているので、思わずそこまで行ってみました。

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この左手の建物がそれです。すぐ脇を、精進川が流れています。施設の中には、孵化させる空間っぽいものがありました。

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付近には、斎場や「水車町」という町もありました。川沿いなんだな、と感じます。ただ、期待するような支流暗渠や旧河道らしい空間にはいっこうに遭遇しないのです、碁盤の目がひたすら続くのです。・・・こんな、2つの川に挟まれた土地でさえ。

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しかし、銭湯はありました。東豊湯。積雪のためでしょうか?こんなつくりです。

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気になるマンホールもありました。「札下」とか「ト札下」とか書いてあるんです。・・・札幌下水道なのかな、しかし札とは読めない・・・札幌の札と、北海道の北を合わせた文字なのかな。そして「ト」はいったい何なんだ・・・と、悶々としていたら、やなぽんさんが教えてくださいました。これは、札幌市下水道のもののようです。それから、「ト」がつくのは、中の鉄筋が太い増強蓋である、ということまで教えていただきました。ほか諸々、ぜひこちらを参考に。→以下、札下マンホの説明記事(やなぽんさん、ありがとうございました!)
http://yanapong.blogspot.jp/2011/11/blog-post.html
https://sites.google.com/site/machiyomi/tetsubuta/hokkaido/sapporo#3

そういえば、札幌って碁盤の目に沿って「北〇条西〇丁目(〇内は数字)」のような住居表示の仕方が多く、とても独特ですよね。白汚零さんが、札幌は下水道幹線の名付け方も独特で、アルファベットと数字の組み合わせなのだ、と仰っていたのを思い出しました。

・・・それにしても、暗渠がないなあ。暑い日だったので、珍しくガラナなんか飲んでみたけれど、自販機の隣にゴミ箱がある確率が異様に少ない。あと、信号が”勝手にスクランブル”っぽいところが多い。色々とユニークな街だなあ、ここは・・・。

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ふう。とりあえず昼ごはん。
みよしのの餃子カレー。今回初めて食べた札幌B級グルメですが、ハンバーグカレーみたいに、コレは大アリ。しかも380円なんです!カレーは野菜とひき肉のやさしい味、餃子は福しんぽい味。学食みたいでいいなあ。近所にあったらいいなあ。周囲の人の餃子カレー注文率も高かったです。愛されてるのね。満足!!

・・・で、暗渠のことはほぼ諦めかけていました。

しかし、北大をうろうろするうち、どうやら冒頭の親水空間を流れている川は、昔から流れていた川を整備したものらしい、ということがわかってきました。

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その名は、サクシュコトニ川というらしいです、どうやら。
というわけで、今回歩けたサクシュコトニ川を、遡る感じでレポートしたいと思います。

この写真は、復活したサクシュコトニ川がひととおり整備された空間を流れおえ、暗渠に入っていく出口のところ。

・・・サクシュコトニとは、どういう意味なのか?アイヌ語で、
サ=浜のほう
クシュ=通る
ということから、サクシュ=浜のほうを通る(この場合の浜=豊平川)、なのだそうです。また、
コトニ=窪地
から、「窪地を流れる川のうち、豊平川に最も近い川」という意味になるようです。

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さきほどの出口から上の流路をながめると、こんな感じに、美しい窪地にある草原の中を、控えめに、しかし淀むことなく、さらさらと流れています。

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ちなみに、暗渠を経てもう少し下流に行くと、新川という川に合流するようです(もともとは「コトニ川」に合流するということでしたが)。新川に合流する流れはほかにもあって、北大隣にある競馬場の周囲(の、道路下でした。元同僚がタクシーの運転手さんから「この道路は暗渠だ」と別な場所で言われたそうですが、こんなふうに大きな暗渠が下をくぐる道路が何本かあるのでしょうか)を流れてここで開渠となるこの川たちもそのひとつ。この水はどこからやってきたのでしょう・・・

ほんとは色々気になりますが、時間も体力も限られているので、北大キャンパスに的を絞ります。さきほど草原の中を流れていたサクシュコトニ川、つぎに出逢ったのはこの場所でした。

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以前は水量も豊かで、サケが遡上していたといわれます。都市化が進み、1951年ころから水量が減り始め、枯れてしまったそうです。そのとき、上流部は河川としての役目が終わってしまったけれど、下流部はサクシュコトニ川としてその後も存続していたといいます。
このあたりの地点は、その、存続していた部分にあたるみたいです。

「遺跡庭園」北端までは昔の風情そのままに、灌漑用水や自然水等の水路として利用されている、と案内板にありました。それがだいたいこの場所なのですが・・・

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遺跡庭園というのは、これです。

正しくは「遺跡保存庭園」。大学構内のサクシュコトニ川の両岸には、竪穴式住居跡が多数残っているのだそうです。それらは、明治期の絵地図にも地面の窪みとして描かれています。現在は埋まってしまい、見えないものが多いですが、この「遺跡保存庭園」の中にはまだ窪みが残るといいます。

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ひろいひろい、原始林の中を歩いていると、ふとこんな風に、穴らしきものと「アイヌの住居」と描かれた立札があります。この一帯には深さ50センチ、直径5~8メートルになる穴が30以上もあるのだそうです。奈良時代末~平安にかけての村落。

・・・これが大学の中・・・?ひとり、こんな原始林の中にいることがとても不思議に思えてきます。

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遺跡庭園の脇には、空の水路がありました。雨水の排水路なのか、必要な時だけ水を通す用水路なのか不明ですが、この先はサクシュコトニ川につながっていました。

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もう少し上流には、こんな空間。

傍らに牧場?と思ったら、酪農生産研究施設・中小家畜生産研究施設という北大の施設でした。牛さんたちがのんびりと暮らしていました。

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自然そのままの姿の水路が、注目もされずに流れています。自然すぎて、脇を歩くことさえできません。カラスが行水をしていました。

そして次に人目に触れるのが、

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ここです。
かつて川が枯れてしまった時期に、埋められてしまった部分がこの間に挟まっている(=暗渠区間)ようですが、残念、見られませんでした。

1998年ころから、埋め立てられた部分を開削して浄水場から導水する計画が始まったらしいです。(最初は湧水かと思っていましたが、残念ながら処理水のようです。東京と似たようなことが行われているのですねぇ。)
2001年の北大125周年「サクシュコトニ川再生事業」において、その計画は更に進み、再生事業は2003年~2004年あたり。
 http://circle.iic.hokudai.ac.jp/vrmap/Articles/2003SKR/
このサイトを見ると、今回追った水路のうち、まだ暗渠だったもの、通水してないものなどがみられます。また、
http://www01.hokudai.ac.jp/bureau/populi/edition17/toku2.html
このサイトを見ると、サクシュコトニ川は北大キャンパスの形成に少なからず影響を与えていたようだ、ということがうかがえます。

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もう少しだけ上流。とても澄んだ流れがさらさらと流れ、ひとびとがくつろげる椅子があります。明らかに、学生だけではなく、市内のひとたちがこの空間を楽しみに来ていました。

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その、ひとびとが見つめる先は、・・・大野池。こんなに綺麗な池。湧水池かと思うほどです。これまで書いてきたように、この水は浄水場からきている処理水のはずですが。

その上流は、冒頭の野川公園のような親水空間であり、

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遡ってゆくと、ここが始点でした。処理水の出口にあたるところです。

再生したサクシュコトニ川の、源流?地点です。

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なので、川を追うのをやめ、駅へと向かおうと思っていました。すると、先ほどの地点から少し進んだところに、「河」と書かれたマンホールがあったのです。

後で調べてみると、近辺で見たいくつかの「河」マンホは汚水ます表記だったりで、何者なのかよくわかりませんでした。しかし、このときわたしはこれを見て、「もしかするとこの先にまだ上流があるかもしれない」という気に、なぜだか、なったのです。

引き寄せられるように、やや南のブロックに行きました。

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すると、ガクッと下がる空間が出現しました。・・・この雰囲気は、すごくあやしい・・・!!次のブロックに回ります。

すると、

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あった・・・!!!

これはまさしく川跡・・・!

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振り返ると、さらに上流があります。

サクシュコトニ川の跡は、いまでも残っている・・・!

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これまで見てきた、札幌市内の風景とはまるで違う空間が広がります。ずいぶん高低差のある、崖下の川跡です。

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草が伸び放題ですが、川筋は確認できます。
蛇行して、

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こんな風に出てきました。

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曲っている区間は、こんな風にぼさぼさです。とても暗渠風味。
今回最初で最後の、車止め風のものがありました。たぶん、手すりとして使われていたようですが。

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さきほどの蛇行の後は、この裏を通っていました。「井頭龍神」・・・来てますねぇ。

ここは偕楽園という場所であり、かつて「龍神さんの池」があったといわれます。湧水池だったようです。偕楽園には鮭孵化の試験場などが設けられたこともあったといいます。

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偕楽園の脇はこんな風に丸く崖になっています。じわじわとしみ出るタイプの、湧水があったのかもしれません。

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偕楽園から先は、再びワイルドになります。これも川跡。

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護岸には不揃いの石や、陶器や、いろいろなものが混ざっていました。

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コンクリ蓋の出現。下水道台帳で確認してみましたが、この、サクシュコトニ川の上流部の真下には、とくに下水道は通っていませんでした。ここには雨水が流れることもあるのでしょうけど、たいして流れないのかもしれません。

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でもこのコンクリ蓋は、かなりの存在感をもって、行くべきところを示してくれます。

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草で覆われている場所もあるけれど、

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うっとりするような自由なかたち。

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さらに上流は空き地でした。
でも、サクシュコトニ川はしっかりと見ることができます。

Saku43

川跡として認識できる最上流部はここです。
ここで、途切れます。このさき、JRの高架の下をくぐり、すぐ隣が水源です。

Saku44

水源はここと言われます。

アイヌ語では、湧泉のことを「メム」というそうです。
豊平川扇状地の伏流水は、かつて市内の各地で湧いていました。サクシュコトニ川の水源は、この、京王プラザホテルの西隣にある、建設会社伊藤組の伊藤氏所有の家(住んではいないらしい)にあるメムです。中には入れませんが、庭は外からも見え、盛大に窪んでいることまではわかります。
るるぶのフリペには、ここについて「札幌市内にある最後の泉池があり、サクシュコトニ川の源泉が存在している」とありましたが、外から凝視しても、どうも水面は見えません・・・はてさて。

Sakumap

明治期の地図にあわせて見てみると、今回たどった川跡は、この水色の流路のうち、もっとも東側にある一本です。

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前述の伊藤氏宅の隣のブロックには北大の植物園があります。北大の植物園は、東大の小石川植物園に次いで、日本で二番目に古い植物園です。その、園内にもかつてメムがあり、コトニ川水系の川が流れ出していました。先ほどの地図でいうと、一本西側の流れにあたります。

ちなみに、水系は異なりますが、札幌ドームのほうには「ラウネナイ川」「ウラウチナイ川」
などと、これまた由来が気になる川たちが今も流れています。

Saku46

最後は、エスカロップ(白エスカ)で〆ましょう。

エスカロップは根室のB級グルメですが、ずっと食べたかったもののひとつです。東京都内でも3か所ほど提供する場所を確認しましたが、どうも行けていません。札幌市内では東京よりもさらに多くの店舗が提供していると聞き、アクセスしやすい駅ビルで食べました。
・・・エスカロップの構成要素は、筍入りのバターライス、トンカツ、デミグラスソース、であるはずです。しかしこれは、筍ではなく玉ねぎのバターライス、薄切り肉を重ねたトンカツ、という変化球でした。おーい!筍のやつが食べたいぞー!!
・・・というわけで、エスカロップへの情熱は失せることなく、しかし、暗渠的にはだいぶ満足した、北海道のさんぽでありました。

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コメント

植物園は以前出張のついでに立ち寄ったことがあります。駅のすぐそばにこんな素敵な環境が、と思いましたが、北大キャンパスも凄いですね。そしてこの川跡も。井頭龍神だなんて!

投稿: HONDA | 2012年5月26日 (土) 22時25分

>HONDAさん

植物園、行かれたんですか。いいなぁ!わたしは今回曜日も時間も合わなくて行かれませんでした。HONDAさんのことだから調べ済みかもしれませんが、植物園からの流れはセロンベツ川というみたいですね(記事内にリンクしたやなぽんさんから教えていただきました)。
井頭龍神については事前知識ナシで行ったので、うれしくって龍神さまに頭をペコペコ下げてしまいました~。

投稿: nama | 2012年5月28日 (月) 17時37分

じょうてつ!見慣れた東急マークではないですか・・・。

投稿: Bake | 2012年6月 5日 (火) 15時15分

>Bakeさん

じょうてつ??・・・おお、一瞬なにに反応されているのかわからなかったのですが、バス停でしたか。ほんとだ~、調べてみたら東急グループでした!

投稿: nama | 2012年6月 5日 (火) 16時38分

おもしろかった!うまそうだった!

投稿: 大佐 | 2014年10月28日 (火) 21時54分

>大佐

ね、ちょっと餃子カレーたべたくなったっしょw

投稿: nama | 2014年10月29日 (水) 12時44分

よく調べていますね 素晴らしいです

サクシュ琴似川

 http://www13.plala.or.jp/yamaho-01/札幌の川と橋/index-kawa.html

私は好きで 大野池 よくいきます

投稿: 里山 遊人 | 2015年8月27日 (木) 09時05分

>里山遊人さま

返信が遅くなり、失礼いたしました。
お読みいただき、ありがとうございます。
お近くなのですね。大野池の周辺のベンチに座り、お弁当を食べるような昼時はとても良いだろうなあ、と思います。水がとても澄んでいますよね。

投稿: nama | 2015年10月28日 (水) 21時38分

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