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風船爆弾と、別世界につながる暗渠 後編

またも、更新が遅れてしまい、いつの間にか世の中は大晦日です。
実は足の骨を折ってしまい、なんだかんだと、PCに触れないまま時が過ぎていました。全治3か月ということなので、おそらく今後しばらく暗渠さんぽが出来なくなってしまいます(幸い記事は溜まっているので更新できますが)。今年はずぅっと思うように暗渠のことも出来ずに来たので、来春以降、もう少しできたら良いなあと思っています。今年やる予定だった、「桃園川旧流路と名称の謎について」をメインのテーマに、それ以外にも行きたいところ、縁のあるところなどを来年に持ち越したいと思います。
というわけで、今年最後の更新は、前回の続きの生田近辺の記事となります。はじまり、はじまり~~。

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さて、専修大学の敷地のある山から、下ってゆく道路に出て、向ヶ丘遊園駅をめざします。山間の住宅地のようなところを、暗渠はいねがー、と、きょろきょろしながら。

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すると・・・あった!あった!これもきっとすぐ上から湧いているはずです。

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さらさら流れています。クランク状に曲がって下る。
五反田川支流のようです。たまらず、追います。

しばし住宅の間の道なきところを流れ、

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上流部分ではみごとに蓋暗渠となるのでした。

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しかも、こんなふうに、ジェットコースターみたいな下り方をして!!

龍の腹のようでもある!カコイイ

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蓋が、雑に開いているのはご愛嬌(川崎だから)。

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ちょっと、違う大きさの蓋がまぎれているのも、ご愛嬌(そう、川崎だから)。

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こんなにのどかな場所でなんで暗渠にしてるのか、よくわからない感を醸しつつも暗渠は曲がりくねり、

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また別な流れと合流します。
両側の山からぞくぞく湧いてるみたいです。

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この合流する流れは、建築資材で蓋されまくってます。

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さらに、上流のほうからも1本下ってきてます。この道の先には、地図には何も書いてありませんが、戸隠不動尊跡地というものがあります。平成5年に焼失してしまっているようです。

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いま遡ってきた水路は写真右奥から手前に来るもの、戸隠不動尊跡地方向から来る流れが写真左手前から奥に行くもの。

さらにさらに、写真左方向からも一本伸びてきて、こんなふうに合流しまくっています。

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その、左からの流れは山の麓を這ってくる蓋暗渠で、これがなんとも気になります。自転車で見えにくくなっちゃってるけど。
山を登ってたしかめにいくと・・・そこは、

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こんなんなんってました!
ほたるの里!!?
水路が、湿地が、田圃が・・・・!!

このあたりから、「なにこれー!」「すごーい!!」と、筆者歓声をあげまくります。

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山から下りる、ウッドな階段がありました。その先は・・・

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パラダイス!!!

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湧いてる!!なんかジャバジャバしてる!あきらかに湧水!!

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池あり!

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田圃あり!

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ワイルドな水路あり!

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ワイルドな水路の来る先を見つめると、ここがどこなのかわからなくなってきます。いまは昭和なのだっけ。ここはどこなのだっけ。

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谷戸の、両側を小さな、けれどたのもしい小川が走っています。これは、西側の一すじ。

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これは、東側の一すじ(藪の中ですね・・・)。小さな滝のようなものもありました。すべてが自然のままです。

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両側の小川のほかに、谷戸の中央をくねるようにして何すじかが流れています。

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ふと、ノルウェイの森の「野井戸」のことを思い出しました。
もし、いま足元にあるウッドデッキがなかったなら、とても気を付けて歩かねばならなくて、きっといくつもいくつも野井戸があって、いくらでも落ちてしまうかもしれない。

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そんなことを思いながら、ウッドデッキの下を見てみたら、じゅくじゅくと水が湧いていました。いちめんの湿地帯だったんですね。

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しかし、こんな場所があったなんて、ぜ~んぜん知りませんでした。比較的最近できたのかと思ったら、やや古めの看板もあって「ハンノキ林の植物」のことが書かれていました。見上げてみます・・・ハンノキはどれかな。
平地の湿地にはハンノキを中心とする高木林があり、湿地独特の植物群落をつくっていたけれど、いまは湿地が開発されほとんど見られないので、このハンノキ林は貴重。とのことです。

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まむし看板の出現です。まぁ・・・いる、よねぇ、きっと。週末でしたが、かなり人が少なめなので、まむしもノビノビ生活してるかもしれませんね。

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谷戸を登っていく形で歩いていきます。相変わらず湧いてます。でも、なんか、水がそんなにきれいじゃないのです。油分のようなものがまぎれてたり、王禅寺みたいな黄色っぽい感じがあったり。なぜだろう?土の性質なのかもしれないけど・・・、入り口のほうの湧水は澄んでいたのに。

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ミニ谷頭みたいな場所もちょこちょこあって、そういうところにはこんなふうに池ができていたりしました。やっぱりそんなに澄んでいなくて、生き物のざわめきも感じないけれど。・・生き物のざわめきは、むしろ、この崖の上部から聞こえてくるのです。

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ちょうど、専修大学の校舎が崖の上に建っているのでした。いくつかの楽器のおと、学生が生活する感じが、尾根のほうからしてきます。なんとも不思議な感じです。大学生たちは、この崖下にこんな自然があること、知っているのかな。知らないんじゃないかな。それとも、デートに使ったりするのかな。。

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この谷戸はいまは草地・湿地だけれど、以前は水田だったようです(gooの昭和38年航空写真)。
両側に水路、斜面は雑木林。真ん中に水田や畑が昔からあって、周りを囲む雑木林は、まきや炭、肥料を作るために育てられたものなのだそうです。案内板によれば、どうやらカブトムシやクワガタがいるらしいです。あ、もちろんホタルの里なので、ゲンジボタルも。

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それにしても、コンクリ蓋暗渠を追ってきて、こんな景色に到達するなんて。思いもよらぬ、ぜいたくな暗渠さんぽとなりました。

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だって、谷から上がればすぐに、この風景ですよ・・・。

今いたところはどうやら、生田緑地の一部のようです。生田緑地で有名なのは日本民家園やばら苑の方面でしょうか、川崎市内最大の緑地で、昭和16年からあるようです。今回は歩いていませんが、生田緑地周辺にはいくつか戦争遺跡があるようで、なかでも驚いたのは地下壕です。生田緑地の地下(東口駐車場の奥)には、「高さ2~3.5メートル、幅2~4メートル、総延長268メートル」の大きな地下壕が残っているというのです。東芝が軍需の地下工場にしようとしたところ、使用前に敗戦となってしまったもののようです(「フィールドワーク 陸軍登戸研究所」より)。
ほか、枡形山には探照灯基地や、高射砲陣地があったといわれます。前出の専修大学キャンパスには、戦時中は日本電気生田研究所があって、電波兵器の研究をしていた、ということです。

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さあ、尾根に戻って終わるのではなく、ちゃんとさきほどの湧水の行く先を見届けたいと思います。最初に小川を見つけた地点まで戻って、下流を臨むと、さっそくコンクリ蓋暗渠がありました!しかも、横のガード付タイプの、幅広な立派なやつです。

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道路を横断するという、萌えポイントもしっかりと押さえてくれています。

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山の下をじりじりと流れて、

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唐突に、ものすごい角度で曲がりますw

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コンクリ蓋の終わった先は、写真左側の手すりに囲まれた中で、開渠になって、そして小田急線をくぐります。うっはー、見どころが多すぎ!

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暗渠の終わりを喜び勇んで見に行くと・・・、あれ?水量、これだけ・・・?あんなに湧いてたのに・・・

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まあ、いいか、とりあえず先に進みます。線路を渡って、続きを探します。川崎において水路を見つけたいときには、アレです。アレw ゴミ捨て場w

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やっぱり、ゴミ捨て場の下にありました。こっち側は2連で、後ろには物置みたいなのが見えます。

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ずいぶんアクロバティックに置いてあります。・・・どうやって出し入れするんでしょ・・・

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水路は何も気にせず、流れてきます。

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反対側もゴミ捨て場で、珍しい(お手製だろうな~)からし色の木蓋でした。

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もうすぐ五反田川です。いい感じの眺めです。

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トリプルゴミ置き場、気に入っちゃったので何枚もw 道路を横断する暗渠も見えますね。

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こんなふうな、ざっくりとした支流暗渠もありました。

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いよいよクライマックスです。ジャバァー!
なるほど!水量が少ないと思ったら、下を雨水管が通ってたんですね。むしろそっちのほうが多いかも。

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しゃがんで見てみると、合流口の間際までは開渠で来ていることがわかります。

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それにしても、ゴール地点の五反田川はずいぶん曇った色でした。すぐ近くに二ヶ領用水が流れていますが、こっちのほうが水質はずっと綺麗です。
この後、仙川に寄って下水道写真家:白汚零さんの展示を見させていただき(お話もしていただき、ホント感謝です!2012年下水道カレンダー、および来年の暗渠内写真を楽しみにしています)、下北沢に寄ってテト家をひやかして(コンクリートドリンク、良かったなあw)帰ってきました。

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さてさて、今回の行程です。水色が今回追った五反田川支流の暗渠&開渠。「ホタルの里支流(仮)」とでも言ってしまいましょうか。そしてその、ホタルの里の湿地帯が、水色の枠内です。湧水に癒されたい人に、おすすめです。個人的には、暗渠蓋が途切れた直後の、別世界突入ぶりにしこたま感動しました。

さて、これで今年の更新はおしまい。ずいぶんと記事を書けない時期が続いていましたが、それでも読みに来てくださった方、コメントくださった方(ツイッター上でも)、本当にありがとうございました。来年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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