京都の平地では暗渠と出会えないの巻
なんだか急に、寒くなりました。
未整理の写真をながめていると、まだまだ今年のあたたかい(というか暑い)時期のものがあって、いまの寒さとは差がありすぎて、記事にするのも妙かな、と思ったりもします。
けれど、寒い時期の写真がいっぱいあるわけでもないのです。なので、今年の春~夏の記事をいくつか書こうと思います。
夏に、京都に出張する機会がありました。
自分の発表があったり、飲み会があったりで、なかなかさんぽをする時間もないけれど、朝早めに起きてぶらぶらしてみました。
早速、ものすごく素敵な銭湯を発見!錦湯です。
このつくり・・・東京で見てる銭湯とはまるで違うかたち。
入ってみたくてたまりませんが、朝御飯前の時間なので、開いてはいませんでした。
時間は限られているので、とにかく帰れる範囲で歩きまわります。
残念ながら高低差の無い場所で、暗渠らしいものも全然なく、おのずと注目するはマンホール。下水道蓋が東京のものとちょっと似ていました。
側溝の蓋にも、なかなかすごいものがありました。・・・私・・・!?
鴨川まで出て、川べりを歩きます。もちろんお店はどこも開いていないので、川床の下を流れている水路を見ながら歩きました。
京都には何回か来ていますが、これまで気には留めなかった場所です。・・・なんとなぁく、裏側部分を見たくなったわけですw
鴨川もながめます。
流れはずいぶんと浅くて、広い。そして、整備されていて、水もきれいな印象でした。東京の各開渠とはだいぶ異なる印象です。
後からタクシーの運転手さんに聞いたところ、鴨川は以前は”暴れ川”だったのだけど、底を浅くして広げることで、今は大丈夫、とのことでした。その”浅さ”がとても徹底している印象でした。
上の写真の右端に、暗渠の吐口のようなものが見えています。
拡大。暗渠のように見えるけど、後方には向こう側が見えます。つまり、河川が合流しているようです。
琵琶湖疏水の分流が、まわりまわってきているように地図では見えましたが、よくわかりません;;
川床の下の流れに戻りましょう。
鴨川同様、浅い水路にちょうどよい勢いで水が流れていきます。淀みも嫌な匂いもなく、しかし魚は棲んでいなくってちょっと味気ない。でも、クレソンが群生してました!あぁ、むしゃむしゃしたい。
四条大橋からあるき始め、三条大橋まできたところです。橋の下には、写真内に見えるようなミニ橋があって、ミニ調整池のようなものがあるように見えます。
うーん・・・ミニ調整池っていっても、この大きさではあまり役に立たない気がする・・・不思議な空間でした。よくわからないまま。
そろそろ、朝御飯を食べて宿に帰らないと、集合時間に遅れてしまう・・・。川沿いを離れます。
また銭湯。明治湯です。
やっぱり、東京で見慣れている建物とは違うようです。
京都ではこういうタイプが多いのか・・・?帰ってからwebでみてみたところ、町家ふうのつくりが多いとのこと。2階は住居になるものらしく、この2階の存在がだいぶ印象を変えていると思います(集会場でもあるのかと思ってました)。東京だったら、上までズドーンと屋根、ですからねぇ。換気の仕方とか、異なるのでしょうか。
また、京都市内の銭湯は大正・昭和初期から残る建物が多く、前掲の錦湯なんて、昭和2年からあるとのことでした!リンク先の、洋風銭湯もすごいですねぇ。実にカッコイイ。これらも見てみたかったです。
もひとつ銭湯。ここは桜湯の入口。
桜湯は、錦湯と明治湯にみられた町家ふうのつくりではなく、ビルの中に入っているようでした。
それにしても、この”サウナチェリ”の看板が秀逸。”チェリ”だし、添えられた絵がかわいすぎるし、串かつおでんも同列だし・・・
がつんがつんと響いてくる看板です。
朝のさんぽはそのくらいにして。
あとは、同僚たちと行った観光の記録です。同僚たちとはぐれないようにしつつ、水関係のものを撮った記録といいましょうか・・・。
タクシーで龍安寺へ行ったのですが、その途中にあった暗渠っぽいもの(向こう側の歩道)。
同僚はわたしの暗渠趣味を知っているので、「運転手さんになんか訊きなよ~」(告っちゃいなよ~、的なノリで)という話になって、おそるおそる質問をしたところ、前述の鴨川の話のほか、
・堀川通の「堀」は、明治まであった運河であり、伏見からの入口だった。今は親水空間。
・お土居(おどい)が北の方に残っていて、これは鴨川の氾濫を防ぐ堤防の役割もしていた。北野天満宮内にも残っている。
などと情報をいただけました。運転手さん、ありがとうございました!
龍安寺につきました。入るとすぐに池が見えてきます。鏡容池。かつてはおしどりがおり、おしどり池とも呼ばれたそうです。
この池、出現する角度にと~っても違和感を覚えたのですが・・・
やはり人工池のようです。後ろの山から湧水はありそうなので、それをどーんと土を盛って(そこにいまわたしが立っている)せき止めたようです。
だから、目の前は池、立ってるところは盛り土、背後には急峻な崖。という、違和感ありまくりな地形になっているのでした。まさにダム!日本庭園ダム!
ふと目の前には石が二つあり、「水分石」と書いてあります。いったい、どんな面白い由来のある石なんだろう、って不思議がっていたのですが・・・、池の水量を測るための石なんだそうでした。
帰りの新幹線まで、あと1箇所くらいしか行く時間がなさそうです。なるべく近くをということで、なんとなく、古典で見たことのある仁和寺にいこうかということになりました。
ぶらぶら歩いて向かっていると、小川発見!
ちょうど、背後が山です。朝のさんぽでは不発だった、谷と水路。北部に来ると地形に起伏が出てくるのですねぇ。
で、ワクワクしながら歩いていましたら。
きたーーー!
アレが道路を横断しているじゃないですか!!突如しゃがみこんで興奮し始めるわたくし。
その下流はこうでした。
さきほどの開渠とそっくりな感じで、流れ落ちていく水路。
どうやら、さっきの流れもこの流れも、同じ御室川(桂川の支流)という川に流れ込むようです。
その、上流部は暗渠として続いていたので、鼻息荒くしてさかのぼります。
同僚たち、「これなの?これなのね?」とついてきてくれます。やさしい!
でも、すぐに開渠に戻ってました。
このナナメっぷりがちょっといいですね。柵の向こうで開渠になり、ずっと山奥まで続いている様子。
すぐそこにあった、町内会の地図に水路が描かれています。なんか良いですねぇ、水が豊富です。
右上に「原谷へ」と書いてありますが、この原谷(はらだに)という場所は左大文字の山の奥の一帯をさすらしく、別な地図を見ると原谷から市内へ向かう道は「氷室通」と呼ばれるようでした。・・・氷室!!
もう、興奮し続けています。京都、山間部には水の豊かな気配がします。
ここは仁和寺の敷地の脇なんですが、石垣からジュクジュクとした浸み出しがみられます。
そして、仁和寺の敷地を囲う、石垣のところにはこんな滝のようなものがありました。
ナニコレ!ナニコレ!ってなって、ガン見していたところ、背後から「それ、なんだかわかるー?」という声。・・・向かい側の敷地にいらした庭師さんが、声をかけてくださったのでした。
庭師さんによると、これは排水溝なのだそうです。石垣の上に敷地があって、そこに雨が降るとここを通るのだけど、雨の日はそれはもう滝のようにここをジャバジャバと流れるのだそうです。
面白がって、この開いてる箇所に手を突っ込んで写真を撮ってみましたが、空の土管があるだけでした(ちょっと、こわい)。
上部はこうなっています。
ここから雨水を落とすわけです。いったい、どんだけの水が押し寄せてくるんだ・・・
で、石垣のすぐ下には、一見ふつうの側溝が伸びています。
雨の日はさきほどの滝も含むわけなので、結構な許容量のはず・・・
その側溝は、おとなしく下っているように見えますが、
なぜか下流に向かうにつれて、逆にだんだんと蓋が盛り上がってきて、
ぶつっ。
っと、こんなふうに終わります。なんだこれw
よくわからないけど、とりあえず仁和寺に入ります。
お寺の山門からふと見下ろすと、ささやかな側溝が手前を流れていますが、横断歩道のこちら側に橋のようなものが見えます。水路が通っていたであろう橋。
で、ここで観光はタイムアップ。
ランチは先斗町で、花柳というお店で軽めのコースを食べたり、酒に菊を浮かべたりしました。元・お茶屋さんという、空間が良い感じ。
ほんとは、外の床で食事がしたかったのですが、いかんせん9月。川床が暑過ぎて、断念してしまったのでした。考えてみると京都には何回か行っているのに、一度も川床で食事をしたことがない・・・。
さてさて、暗渠のさんぽはほとんどできていない今回の旅。ただ、有名なお寺の周辺にも、楽しめそうな暗渠関連のものがある、ということもわかりました。南側にも起伏のある土地がある、ということを聞いたので、次に京都に行く機会あらば、南端と北端を攻めよう、と思っているところであります。
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コメント
こんにちは。
冒頭の蓋お写真、「秘」に見えてしまいドキドキ・・
横断するアレ、、もnamaさんに乗り移った気分で興奮しましたー。京都は本当南北楽しいです^^
南禅寺・ホラーお好きなら貴船や深泥池。
インクライン(アンクラインっていうブランド見ると必ず蹴上が浮かんできちゃいます)。
南でしたら伏見・・・
また美味しそうな物と併せて拝見するのを楽しみにしております。
投稿: 谷戸ラブ | 2011年12月 8日 (木) 09時09分
>谷戸ラブさん
こんにちはー。
「私」より、「秘」のほうがドキドキしますねぇ~、ふふふ・・・。横断するアレ、しゃがみと興奮ぶりが伝わってうれしいですw
南禅寺のほう、すっごい面白そうですよね。というか、むしろ南禅寺近辺は以前訪れているのですが、この趣味が開花していなかったので、あらまーもったいないことをした、と今では思います。
京都に次に行くのはいつになるやらわかりませんが、次は食べ物を添えますねw 今回はクレソンだけでしたね~。
投稿: nama | 2011年12月12日 (月) 12時52分