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ゲゲゲの湧水 後編

ひらがなやカタカナで表記された川ってどうも、気になります。川の地図辞典多摩東部編を読んだときには、案の定「マセロ川」がとても気になりました。そのときは完全に「ませろ」と読んでいましたが、今回はじめて正しい呼び名を知りました。ちなみに「マセ」とはなんなのか??・・・残念、由来は不明ということです(この川の流れる佐須村の小字だそう)。自分のあたまのなかでは、間瀬?などと、想像ふくらみます。
なお、マセ口川は、佐須用水、池の谷用水とも呼ばれるそうです。

そんなわけで。引き続き野川の支流、マセ口川水源=都立農業高校神代農場をうろうろします。

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神代農場の湧水池その3です。
これは左岸で少し横に凹んでいる地形のところから、染み出したものが溜まっているようです。鬱蒼とした木々に囲まれて、しぃんとしています。

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これは、左岸側にある水路で、自然の川っぽい形状のものとしては、マセ口川の最上流部といえるかもしれないもの。
木の枠のようなものがついてますが、かなり自然に近い状態の護岸です。

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ここはシイタケ栽培地の脇で、またしてもミニ谷戸のようになっているところです。
奥の谷頭から水が湧き、小さなせせらぎを作っています。写真ではよくわかりませんが、石垣のようなものがあり、その石垣全体からの滲み出るような湧水があるようです。
水量がけっこうあるのと、あまり歩きまわらないよう注意されているので、なかなか奥までいけませんでした。

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そしてその流れが、こうやって続いていきます。

いまはキレイな水がなみなみ流れていますが、渇水期には若干減るのかもしれません。調布市の湧水調査によれば、ワサビ田(前の記事に掲載)の湧水は渇水期にはずいぶん少なくなり、谷戸内の他所の湧水をポンプで持っていったりしているのだそうです。
また別な資料によれば(HONDAさんご提供ありがとうございます)、近年「枯渇、湧出を隔年で繰り返す」という記述も見られます。つまり、こうではない風景の時期があるかもしれないのですが、よく湧いているときに来てしまったためか、ちょっと信じがたいことです。

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下流側を臨みます。
この下に野草園があり、マセ口川はそこを抜けていきますが、残念ながら野草園は冬季閉園中のよう。

ここは水田。すでに稲刈りは終わっており、門から入って少し歩いたところに、収穫した稲が干してありました。

さあ、これで歩けるところはあるいたので、谷から上がります。

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あ、ウコン。
いつもお世話になっております(敬礼)!

神代農場の校舎の前に、レンガのかまどのようなものがあったことを見逃しません。・・・ああ、鱒をあそこで塩焼きにして食べたり、収穫したコメを飯盒で炊いたり、するのだろうか、彼らは。うらやましい!!なんてすてきな学校!

・・・かなり食に意識が行ってしまいましたが。いま見てきた自然モリモリの立派な谷は、「池の谷」と呼ばれていたそうです。

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道を挟んだ向かいに、青渭(あおい)神社という神社があります。
俗称は「あおなみさま」で、いま見てきた「池の谷」は大きな池であったという話があり、それが名の由来とのこと(「調布の古道、坂道、水路、橋」より。但し、名の由来である池の正確な位置は、わからないとも言われている)。
また、深大寺の伝説にある、娘を隔離した島というのも、池の谷だったのではないかという説もあるそうです。深大寺はこのすぐ近くなので、なるほどと思ってしまいます。

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それにしても池の谷の谷頭部分は衝撃的な深さです。

農場の方を見るとこんな。
道路の脇から、突然ガクーー!!と下がっていて凄い眺め。

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さて、一行は深大寺に移動します。
青渭神社から移動して最初に見えるのは、「不動の滝」。

あまり豪勢ではないけれど、口元からしょぼぼぼっと湧水が出ていますね。以前はここが修験道を修める道場となっていたそうで、ここで滝に打たれる人も居たとか・・・今の水量じゃちょっと物足りないかも。

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その流れはここから出て、

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逆川となり野川へと流れていきます。
この川は上流部が西向きに流れているから、逆さという名がついているそうで・・・そんな風にこの先を右折してしばし西流するはずですが、このときは写真奥の暗渠の口から道路を渡って水生植物園へと向かっているように見えました。ああ、本当のとこどうだったんだろ、未確認。

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逆川に沿って、一度水生植物園に入ります。
神代植物公園は有料ですが、支園である水生植物園は無料で入れます。本園が崖の上にあるのに対し、水生植物園は低地の水辺なので、むしろ嬉しいです。

水生植物園の中は、こんなふうに、あまりにもワイルドな状態で逆川の流路が何本か通っています。

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ところどころに池もありました。

なんかこの池、色が独特。
むかし訪れた、福島の五色沼を思い出しました。こんな色をしていたような。

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園内はこうなっています。
アチコチに水路がありますが、これらが逆川。
上に描かれた水路は、深大寺方面から、かなり鬱蒼とした谷川となって(「昔のまま」の景色らしいです)、深大寺城跡の下を通ってやってきます。逆川も、さっきのマセ口川も、下流のほうでは暗渠になるらしく、その風景もなかなかよさそうで、いつか行ってみたいものです。

・・・で、一行はお城の跡に寄って、空堀なども見、蚊に刺されながらちょっと休憩します。深大寺城は位置的にさほど重要でなく、あまり戦で活躍しなかったようですが、逆川やその周辺の湿地を自然の堀とした攻めにくい城ではあったようです。

一行は山を降り、逆川を渡って深大寺の中へと入ります。

調布市の湧水調査報告書(平成20年度)によると、豊水期の計測は平成19年の11月に、渇水期の計測は平成20年の2月に行われています。これらのデータと、平成16年の11月の記録を比較すると、深大寺においては(深大寺自然広場を除く)、平成16年にはあったけれど今はない湧水が3か所。平成20年度に観察された深大寺内の湧水は「そば処湧水北側」「水神苑北西側水路」「深沙大王堂北側」「境内水路」「延命観音堂南側(擁壁から)」「釈迦堂階段下(コンクリの隙間)」「本坊通用門東側(橋の脇、擁壁石積みの隙間)」「不動堂滝口」の8か所のようです。

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ここは「深大寺本堂」とされる場所。
深大寺本堂と元三大師堂の間にある写真の池は、ポンプアップのようです。なので直近の測定では湧水として扱ってはいませんが、「池の底部からの湧水が考えられる」としています。平成16年度の調査では豊富に湧出しているとされています。

深大寺は後方にある国分寺崖線に寄りかかるように建っており、もともとは三十数か所に湧き放題の場所だったようです。

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ここは「深大寺延命観音堂南側」で、池そのもの(も、このパイプの源も)からの湧水とは記されていませんが、池の擁壁からの浸み出す湧水が観察されているようです。
といっても、池自体の透明度もすごい。

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ちょっと奥へ行くと、カワニナやホタルがいるという立て札があり、写真手前から奥に向かって湧水が流れ出している、深大寺エリアでもかなり良い景色の場所が現れます。

このときは緑も生い茂り、流量も豊富で、なんとも安定感がありました。
ガイドさんの話によれば、深大寺の湧水が最も枯れていた時期というのがあって、ここと、前掲の不動の滝の2つのみにまで減ってしまったことがあるのだそうです。しかし、前述のように湧水源が機能し出したことがわかり、ほっとされた、とのことです。
この地点は、そんな枯れた時期にも生き残っていたほど、湧きやすい場所なのかもしれません。

・・・が。

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ここ、2010年の渇水期はこうでした。
ちょうど2010年の春あたりに撮った写真があるので、珍しく定点観測的な写真を載せてみます。

水はあまり流れているようには見えなくて、植物もまばら、石もとってつけたような違和感があって、「だ、大丈夫か、ここ?」「もしくは、いま整備中?」と妙に心配に思ったことをよく覚えています。

だいぶ印象が変わるものですね。

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ここは「深沙大王堂北側」。この池も以前はポンプアップしていたけれど、最近はポンプは使用していないということが聞き取りで明らかになったので、湧水源として認められのだそうです。奥から清冽な水が流れてきており、とても爽やかな感じのする場所でした。

この池のすぐ近くにある日本料理「水神苑」にも滝や池があるけれど、水神苑の滝および水車で使用している水はポンプで揚水したものなので湧水とはしないけれど、水神苑北側の石積みの隙間からは湧水が認められた、とのことです。

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つまりここらへんの湧水は、一度なくなったけれど復活してきているようです。

ひとつ前の写真で流れてきた水は、この池を通過します。流れはゆるやか~なんだけれどとくに汚れずに、澄んだ水が溜まっています。

この場所も、2010年渇水期に写真を撮っていて、

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撮った位置が違っちゃってますが、同じ池の渇水期の写真がこれです。
実はここ、案内図では「水源池不動尊」として示されているので、その名前からしてかなり期待して見に行ったのでした。それなのに、まるで湧いている様子がなく、淀んだ汚そうな水が溜まっているだけだったので、「だ、大丈夫かここ?」と、やはり心配に思いながら撮っていたのでした。

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こんどは深沙大王堂の脇です。さらさらさらさら流れてきてます。
癒されるばかり。

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その、下流。
深沙大王堂の東側に水路があり、そこを「境内水路」としています。たぶんひとつ前の写真とこれがそうではないかと思います。平成16年度の調査では場所が特定されていなかったもののようですが、しっかり流れています。

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ここは不動の滝と形状が一緒ですが、湧水なのかどうか確認できませんでした。不動の滝よりは多めに流れていますね。

前述のように、深大寺の湧水は一度激減しているので、資料によっては「深大寺を流れる水はその殆どが井戸から汲み上げたもの」という表現だったりします。でも、こうやって、何箇所も復活を遂げていると思うと、少しうれしい気持ちになりながら歩けるような気がします。

「湧水探訪 深大寺」によれば、かつてはここの水は水晶水と呼ばれたほど、とのことです。”雨期になると地面からふつふつと湧くほど”であった、とも・・・。

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ここは「本坊通用門東側(橋の脇、擁壁石積みの隙間)」ですが、今回の写真ではありません。

2010年の渇水期で、既によく湧いているように見え、むしろ2011年豊水期とあまり湧出量に大差ないように見えます。そんな場所もあるんですね。

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それから、お蕎麦屋さん・お土産屋さん地帯(たぶん一番混むとこw)に亀島弁財天の池がありますが、この池については湧水があるような記述は見られません。

が、自然に湧水が流れ込むのか、亀島弁財天の池の排水量が、なんだか違うのでお見せします。これ、2011年豊水期。ジョブァー!

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これ、2010年渇水期。ジョー・・・。

このときの自分はどこが湧水だとかよくわかってなかったんですが、とりあえず水が出てたら撮ってたみたいで、ここも撮ってましたww
流量の違いが面白いです。

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さて、ここで解散です。

蕎麦をたぐって、酒でも飲んで帰るのが理想的と思われますが、わたくしには数ヶ月前から気になっているモノがありました・・・。
じゃーん、そーばーサーンードー。
バンズ型に焼かれた蕎麦、長ネギや紅ショウガやそばつゆ、シソ、味の付いたお揚げが挟まってます。いや、これ結構うまいですよ。あり、あり!!正月にこれのラーメン版、ラーメンバーガーを食べましたが、それよりもこっちのほうが好きです。

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と、上機嫌でそばサンドをたいらげ、しょっぱいものを食べたら次は甘いもの。

じゃーん、焼ーきーまんじゅうーー。水路を行き来しながら、気になってたのでした。草もち、ふかしたもの、焼いたものと三段階あったので、もっとも気になった最終段階のを食べました。うんうん、おいしい。あったかいし。江戸時代、まんじゅうは温かいものを売っていたと聞くので、こういう感じだったのでしょうか?

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夕食っぽいものは食べなかったので、バスで吉祥寺に向かい、弁天つながり?で弁天湯のお湯につかり、ハモニカ横丁で飲みました。本当は弁天湯の脇に出来た立ち飲み屋さんに行きたかったのですが、訪れる前に閉店してしまったような雰囲気・・・

ちなみに、わたしは数年前まで、深大寺というのは長野県にあるものだと思っていました(本気)。
いや、行ったことがなくて、スーパーで「深大寺そば」って見たことがあるだけで、そしてTVで中継とかされると、どう考えても都内に見えないわけです。で、そばなので、長野かなと思っていたわけですww
・・・いまでも、三鷹や吉祥寺からちょろっとバスに乗るだけで、あの雰囲気に出会えるというのは、貴重な気がしています。思えば暗渠のことをますます書かなかった今回ですが、次回は杉並に戻って、暗渠探索にはげむ記事としたいと思います。

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コメント

牛に引かれて深大寺…。

投稿: えいはち | 2011年11月22日 (火) 00時34分

あ、ウコンが木?…って調べたらやっぱり別の種類でした。
http://bit.ly/fbxQsd

投稿: えいはち | 2011年11月22日 (火) 09時11分

>えいはちさん

蕎麦にひかれて深大寺・・・

いつものウコンはこれじゃなかったですか!なるほど、ショウガみたいなやつなんですね(粉末にしかお世話になっていないw)・・・あとで訂正しておきます~。正しい情報サンクスです!

投稿: nama | 2011年11月22日 (火) 20時57分

深大寺はほんと、水の郷といった感じですよね。ちょっと一昔前の観光地風の雰囲気も嫌いではないです。何年か前に集中して攻めたときには神代農場には入れなかったので、またチャレンジしてみたいなあ。

投稿: HONDA | 2011年11月22日 (火) 23時42分

>HONDAさん

水だし懐かし観光地風だしわたしはむしろ積極的に好きですw
神代農場、いろいろなところに金曜一般開放みたいに書いてあったんですが、少し前から木曜になったようです。オトナは有給取っていけってことですかねーw

投稿: nama | 2011年11月25日 (金) 20時32分

ああ、このまんじゅう食いてえ

投稿: microrelief | 2011年11月28日 (月) 20時02分

>microreliefさん

ぶっ 和菓子お好きなんでしたね・・・w

こごめ大福の緑色の方のを、蒸して、焼いたような感じでしたよ~。

投稿: nama | 2011年11月29日 (火) 11時02分

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深大寺の東にある不動堂に寄った後、そのすぐ脇の坂道を上っていく。 深大寺小学校のプール手前にあった水道局施設。 [続きを読む]

受信: 2011年11月22日 (火) 00時23分

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