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港区オフィス街湧水群

前回は町田からバスに乗って、相模川沿いの湧水を見ました。おつぎは、東京にだって湧水があるんだぞってのを、お見せしたいと思います。
その情報は、「新東京の自然水」(早川光著)にて得ました。湧水の本はいろいろあれど、この本には知らずにいた都心の湧水の話も多く、興味深かったのです。たとえば、以前書いた魚らん坂近辺にも!まさかあの付近に、とは、当時は思いもよりませんでした。・・・今回はその、知らなかった港区の湧水群を見に行こうと思います。(タイトルは、まつもと城下町湧水群に、敬意を表してますw)

前掲書では高級住宅地と湧水のつながりに言及しています。高級住宅地はかつて大名屋敷だった場合も多く、大名屋敷は飲用や庭園のために水のいい場所につくるもの、と。言われてみれば、という感じです。

Mina1 そこで出てくるのが三田・高輪。泉岳寺でも昔はたくさん水が出ていたそうです。

そして、今も残る湧水たちは・・・。ちなみにこの日、わたしはあろうことか情報をプロットしたマイ地図を忘れてきてしまいました。つまり、曖昧な記憶だけで巡る旅ですw

まずは、魚らん坂にある、薬王寺。薬王寺の裏側はみごとな崖でした。いかにも水が湧きそうではありますが、

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薬王寺にある湧水というのは、この井戸のことでした。”あさがおの井戸”。
立派なつるべ式の井戸ですね。きれいに保たれていますが、江戸期にはここにあさがおが巻きついていて俳句に詠まれ、その名になったようです。

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つぎは、魚らん坂から伊皿子坂へ、登って、下ります。こちら側の崖地帯にも何かあるらしいので、うろうろします。お寺を探すのですが、なかなか見つかりません・・・。
しかし、この伊皿子坂下の空間、初めて来ましたが、なんだか違和感空間です。

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道路のむこうに、ポコっと穴があいているような、そんな感覚。
ふと見ると、丸井戸がありました。なんと、泉岳寺駅のすぐ近くに、住所は高輪なのに、こんな立派な丸井戸が残っているなんて・・・!

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その丸井戸の家の脇から見下ろす景色が、これです。わたしの写真ではほとんど伝わらないのが残念だけれど、みごとな窪地で、異空間なのです。

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思わず、吸い寄せられ・・・。
おそらく、目指すお寺の敷地なのかもしれないのですが、このビル裏に突然あらわれる山というか崖、崩壊した斜面と、お墓たち。お寺とつながった空間ではなく、独立しているのがまた、ふしぎな光景です。

この一帯はむかしむかし、高縄手とよばれる台地で、伊皿子坂の下はもう海だったのだそうです。もしかすると、この周囲の高いところはぐるっと陸で、いま立っているところは海の中だった・・・とか、なのかもしれない??

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周囲を少し迷って、たどりついたのが目指していた道往寺でした。ここにも湧水があったはずなのですが・・・。立派な井戸は、ありました。

家に帰って資料を見たら、どうやら道往寺の”門前の民家の前”に湧水の井戸があり、(麻布の善福寺のような感じで)清涼な水が流れ出ているということでした。

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・・・今回は、その情報なく、お寺ばかり目指してしまいました。ゆえに、その井戸は見つけられませんでした。しかし、本自体が1992年の出版です。もしかすると、今は無いかもしれません(そのうちリベンジしますけどね)。

道往寺の門には、ちかぢか建て替え工事をするようなことが書いてありました。この辺の風景、もしかしたら近いうちに変わってしまうのかもしれません。

道往寺からすこし行ったところに、こんなふうな、よい感じの建物がありました。

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さて、もう少し移動して、今度は第一京浜沿いに歩きます。見わたす限りのオフィス群。そこでビルの間にひっそりと入口をもつ、成覚寺というお寺に行きます。

ここにも、湧水があるという・・・

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お寺の奥へとすすむと、そこにはものすごいコンクリの崖と、その壁に埋められた物体という、妙な光景が待っていました。妙すぎて、これが何なのか、すぐには理解できません。

なんこれが、現役の湧水なのでした!!

樋のようなもので湧水をカバーしているように見えます。・・・住職さんが、怪しい者だと思われたのかw、声をかけてくださいました(良い子のみんな、ここの湧水を見に行くときは、住職さんにお断りしましょう・・・。)

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そしてここの湧水について、あれこれ教えてくださいました。

縦に伸びる大きな樋のようなものは、湧水をあつめる雨樋。そのなかをつたって、この蛇口から出るものと、自然に下に溜まるものとあるようです。

ここの湧水は住職さんが子どもの頃からあったけれど、最も勢いが凄いときは、まるで滝のようにブシャー!!と出ていて、2~3mさきのお墓がずぶ濡れになるほどだったそうです。それではそのお墓があんまりだと思うけれど、壁はお寺のものではないので工事ができず、苦肉の策としてこの雨樋を付けたそうです。

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しかし、近隣のあちこちで建設工事がなされ、水脈が断たれたようで、一度は涸れてしまった。けれどしばらくしたら又、チョロチョロと出始めた!、と、いうことでした。(水みちが、変わった・・・?)

今現在はまだチョロチョロ、なので、少しでも湧水をあつめようと、このようにタオルを使ったりして、工夫しながら溜めているそうです。

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その、歴史ある湧水は、3つの浴槽と脇の水たまりを年中うるおしています。

浴槽をのぞきこむと、そこには金魚が悠々泳いでいました。浴槽自体は屋外放置で古く、汚れていますが、湛えられた水のなんときれいなこと!透明で、金魚もくっきり見えます。

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脇の水たまりものぞき込みます。

うん、たっぷりと溜まっています。住職さんがここの生きものについて、「金魚とカエルたち」と仰っていたので、ここには季節によってはカエルがいることがうかがえました。今は冬眠中か、卵なのかもしれないけれど。

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もいちど、ヒキで見てみましょう。一度は涸れてしまった湧水が、少しでも戻ってきた、という話は、喜ばしいことのように感じます。因みに、現在の湧水量は、天候や季節によらず、常に一定量だということです。

・・・崖の上の土地がなんなのか、素朴に気になります。いまはNTTデータのようですが、門などは妙にふるく、がっしりしているのです。住職さんいわく、もともとは三井の土地で、戦後接収されてセントメリーという学校となり、その後NTTデータの土地へとなったそうです。(住職さんはセントメリー時代からご存じとのこと。)

感慨深く、何度もながめます。・・・成覚寺の住職さん、本当にどうもありがとうございました。

そして、同じ通り沿いにも湧水があるようなので、さがします。

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御田八幡神社。ここです。
神社は階段の上、つまり崖の上にあるのですが、その階段の脇に、ありましたありました!!龍の口からチョロチョロと出てくる湧水が!!

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龍の口から吐き出された水は、やはりきれいなものでした。
落ち葉や泥がこんなにたまっているのに、水がいたってキレイ。金魚も寒くはなさそうです。赤い色がぽっかり浮かびあがって、とてもあざやか。

今現在、魚らん坂近辺の崖(渋谷川側)からは(直の)湧水は見られないようですが、こちら側(海側)の崖からの直湧水は、水量は減れども、生き残っているということになりますね。

むかしはこのエリア、十~数十年前はあちこちからダクダク出ていたようです。湧水池もいっぱいあったのか?と思って古地図を見てみても、実はそんなには見当たりません。御田八幡神社のやや北東にひとつ、それからもっと北東の浅野邸にひとつ、明治~昭和初期に池を確認することができます。

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・・・御田八幡神社から通りへ出てみると、こんな景色です。港区のオフィス街。平日は、スーツの人たちが大量に闊歩することでしょう。

しかし、このビルの裏側に、すきまに、いまでもひっそりと、チョロチョロと流れる湧水があることを、わたしは知ってしまった・・・。こんな場所でも、いまも生き残る、水脈。せつないような、いや、神々しいような。

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さて、田町の駅から帰ります。コバラが減ったので、おやつにしよう。

駅前の”森永エンゼル街”というのが気になったので入ってみました。すると、その中にベーカリー&カフェがありました。くすんだ内装、椅子の感じやらが、ものすごい昭和です。昭和の日曜日。で、さらに、パン屋さんのゾーンのほかに「売店」みたいな一角があって、そこでは森永商品しか売っていないという!(こういうの大好き!)もちろん売店をしばし堪能しました。

それから、ちびエンゼルパイと、ちびカレーパン、ちびチョコパイで、コーヒー。安くて小さなパンでしたが、なかなか満足しました。 ソフトクリームも食べれば良かったかな。

さてさて、今回はオフィス街にひそむ、湧水たちをちびっとご紹介しました。が、そもそも資料を忘れてきているし、道往寺のほかにもいくつか抜けがあります。残りもいつか、見に行こうと思います。

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コメント

国道1号線のすぐ横にこんな湧水が、ってのがすごい衝撃的ですねー。

投稿: lotus62 | 2011年2月22日 (火) 14時57分

「東京の自然水」のオリジナル版は思い出深いというか、かなり影響を受けた本です。1988年の出版時高校2年生だった私はこれを読んで菊坂やら谷保やらに出掛け・・・今読み返すと筆者の早川光さんは出版当時27歳だったという驚愕。これもまた・・・と、記事へのコメントでなくなるので、この辺でやめておきます。

投稿: HONDA | 2011年2月22日 (火) 23時56分

>早川光さん
気になってググってみました。
うわー、面白い経歴をお持ちの方ですねー!
映画監督で漫画の原作もしてる…しかも「ダシマスター」!!!

投稿: lotus62 | 2011年2月23日 (水) 10時03分

>lotus62さん

ですねー。道路歩いてるだけだと、あたかも平坦な土地に居るような気がしてしまうけど、裏にはムフフが。ムフフ!
そして早川光さんのことは経歴の「映画監督」しか覚えていませんでしたが、漫画原作とは。食べもの系ばかりだし(きららは読んだことあるなあ)、ダシマスターすごい気になります。湧水ファンでなおかつ食べもの漫画原作者って、ものすごく嗜好が近い気がしますww

>HONDAさん

「新」がついてないほうのですね。そうでしたか、HONDAさんが影響を!菊坂や谷保のきっかけ・・・。なんだか凄い本ですね、これは。わたしも、(「新」のほうですが)カラーでもないし写真が多いわけでもないのだけど、妙に惹かれてしまいました。オリジナル版のほうも、熟読したくなりました。

投稿: nama | 2011年2月23日 (水) 10時57分

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