地形にひかれて王禅寺 その1
秋だから、と、紅葉川を下ってる途中ですが。
やはり、秋だからと、王禅寺さんぽをしました。
以前、絵図の展示にて、しこたま惹かれた王禅寺。・・・その川崎のミュージアムショップで得た王禅寺のパンフレットの一部をチラリとお見せしましょう。
こんな感じ(見づらくてスミマセン・・・見づらいため実力を発揮できていません)。まるっこい印象のこの村は、四方と中央に山があって、その間に谷戸がびっしり!絵図内にも谷!谷!谷!・・・ほわぁぁ~~、なんだココはぁ~~。
と、思って調べてみると、王禅寺は柿が名産(※)。秋にピッタリじゃないですか。
それから、釣堀があって川魚が釣れるという。これまたすてき。
これまで、王禅寺のオの字も知らなかったのに。それに、わたしはもともとは地形ファンではないのに。絵図で地形に惚れて、という接近の仕方は自分にとってかなり新鮮です。
※禅寺丸柿という独特の柿で、1370年に付近の山奥で見つけられた。その生産は大正期にピークとなったが、その後減少したとのこと(川崎歴史ガイド「王禅寺」より)。
王禅寺に行くには、柿生の駅で降ります。柿生・・・。むかしテニスの試合に行くために、1度通った記憶があるくらい。どんな街並みだか、全くわかりませんでしたが・・・、駅前、降りたってすぐに大興奮させられることになります。
これ、線路?レール?・・・いえいえ、側溝の蓋です。
谷戸もりだくさんなので、どっちから攻めようかと、駅前ロータリーですこし考えます。
はっ この足元に延びてくるやつも暗渠じゃん。しかも結構立派な。
それは駅の東側の坂上から下りてきて、ロータリーを直進し、駅手前で折れ、このようにじわじわと線路に向かい、
ここを進んで、駅の向こう側に行くようでした。駅の向こう側には、バスロータリーがあります。
その向こうにある、麻生川に注ぐものと思われます。ちなみに、柿生は「かきお」、麻生は「あさお」、と読ませるようです。
駅の反対側までは追わず、ロータリーに戻って上流を見に行きます。
この時点で既に、実は予定外の動き。だって、まだここは最初に載せた絵図では、欄外の位置なんですもの。
蓋が変わります。
最初のレール風鉄板蓋といい、・・・こんな据え膳は食わなければなりません!
やっ・・・矢印登場。
この矢印だけでゴハンお代わりできます。
いったい、何処へいざなおうというのか・・・
最後の矢印が指すものは、自転車置き場でした。
あああ~、良いなあ、柿生のひとたちは、ここの矢印蓋暗渠通って自転車が止められるんだ。なんちゅうパラダイス!
矢印蓋は終わりましたが、その向こうにもコンクリ蓋暗渠は続き、橋がみえます。しかもなんかかわいいぞ。
回り込んで、橋を撮っていたら、町会長風のおじさまが、
「ん?何でしたっけ?・・・何でしたっけ??」
と仰いながら近づいてきます。
ヤバい、超あやしまれている!
うん、でもそりゃそうでしょ。。と思って、微笑みながら、正直に。
わたし「あの、ここに以前、川があったんじゃないかと思って。」
そしたらおじさま、川のことばかりか色々と教えてくださいました。
・これはただのドブ川。山から流れてきた湧水と、排水が混ざって、麻生川に注いでいる。
・以前は開渠だったけど、近所の人がクサイから蓋をしてと言ったのだと思う。
・川崎は上下水道整備率が99%だが、残り1%が柿生駅前で只今工事中。整備されたらここも無くなるのでは。
・ここら辺の土地は、少し掘るとすぐ水が出る。
そして「こういうの調査してるの?頑張ってね」と明るく帰って行かれました。不審者ぽかったでしょうに、やさしく対応してくださって、ありがとうございました!
しかし・・・、この蓋たちがなくなったら、さみしいなあ。どうなるのかなあ。湧水も流れているということだから、暗渠自体がなくなるのではなく、小奇麗にされるという意味かと思うのですが。
しばし水路を眺めます。あ、水が流れてる!
おじさまの仰るように中も流れているし、家の敷地から出たやつも注いでる!
この状態だと湧水か生活排水かわかりませんが、とりあえずどぶ的な匂いは一切しません。矢印暗渠あたりから、じめっと感と匂いそう感が漂っていたかと思いますが、都心の暗渠で嗅ぐようなどぶ臭は無いのですよ。
うーん、柿生・・・。駅前1本目ですでに満足の予感。
で、せっかくなので上流も追うことにします。暗渠上は歩けなかったので、また回り込んで、するとさきほどの流れに対して垂直に合流する開渠がひとつ。
・・・は?竹の蓋・・・?か、傘が・・・。まったく描写しづらいですが、この竹の下にその開渠の下流があります。
えーと、傘をかぶった竹の蓋の、少し上流は、こんなでした。
えーとえーと、竹ハシゴ式?開渠なのか暗渠なのか?
蓋の命名がむつかしい!!・・・その上流に開渠が見えますね。
で、傘かぶり竹蓋(く、苦しい)の、すぐ下流は、このような枯木蓋。いや、ゴミなのだろうか。
ていうか何が載せたいのかよくわかりません。
そのさき、駅から遡った蓋暗渠がいったん口を開けていて、そこにいまの垂直にきたむちゃくちゃな流れが合流するというわけです。
合流地点にはなぜか巨木、なぜか巨木です。
なんでなんだ!と気にしてしまったら、負けなのかもしれません。
1つ上の写真にあるように、合流点より上流は、ワンサイズ小さい開渠に変わります。
その上流方向をふりかえると、こう。
真っ直ぐくるものと、右斜めに合流してくるものがあります。
チョットマテヨ・・・右斜め上の流れの、蓋、ちょっと変じゃないですか?
「はわわわわ~!」ってなりながら、近づきます。
こっ・・・これ、人んちの玄関に立ってるモノですよね。しかも表札つき。・・・鈴木さん、だそうで。
鈴木蓋です。
鈴木蓋は、後にも先にも無いんじゃないかというほどの、レア感たっぷり。
右斜めの方を、さらに上流へと回り込みます。その間、”大ヶ谷戸”という旧地名らしきものを見ました。ここは手掛かりとなる絵図もないし、大ヶ谷戸であると信じましょう。
ここ、麻生川の大ヶ谷戸支流(仮)とします。
さっそく谷戸のようなものが見えてきました。この真っ直ぐのところに、崖があって上に美山台があります。美山台の向こうは、真福寺川の谷です。
美山台下の崖は、もっと左にもつながっていたので、大ヶ谷戸支流(仮)の始点を探ります。すると、やや左からもう1本のコンクリ蓋がのびてきていました。
もすこし左に、また1流(道路中央)。つまり、美山台の崖下から、3本も細流が出てきています。
ここはマンションが2棟並んでいて、その後ろが崖です。マンションの駐車場あたりが少しだけ窪んでいるように見え、スリバチ感があります。
マンションの駐車場にあった半渠をのぞくと、きれいな水が流れていました(底が妙に赤茶色くて、一瞬汚く見えるのですけど)。崖から湧水がどんどん出てくるのでしょうか・・・こんなに?
この流れは、おそらく鈴木蓋じゃないほうの、暗渠につながるのだと思います。
yahoo地図を拝借して、大ヶ谷戸支流(仮)を示します。水源はおそらく美山台下の崖で、少なくとも3箇所から細流が始まっています。北側の2流は途中の流路を確認できていませんが、鈴木蓋のところで3本が合流。崖下を流れていくと、柿生保育園と書かれたあたりの崖下からやってくる、むちゃくちゃな蓋たちの流れが合流。そして矢印蓋を通って、駅をくぐります。
・・・まだ、柿生駅前をチョコマカしたにすぎませんが、既にえらい興奮しています。もう、この時点で声を大にして言いたいです・・・・川崎の蓋は、スゴイゾ!!
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コメント
矢印暗渠なんて初めてみましたね。
なんか暗渠マニアを誘導するような矢印です。
王禅寺周辺は谷が入りくんでいるので、まだまだ面白い場所があるかもしれませんね。
投稿: リバーサイド | 2010年11月10日 (水) 22時12分
こんにちは~。imakenです。
ヲヲー興奮度のめちゃ高いコースですね!
謎のアイテムも多数で。ww
水路にかかる小さい橋が興味そそられます。(いまの私のツボです)
投稿: imakenpress | 2010年11月11日 (木) 11時50分
あ、また川崎ですか!
暗渠関連の楽しいことの8割くらいが川崎で起きている気がします。
> 不審者ぽかったでしょうに、・・・
先日暗渠酒マラソンでお会いした感じでは、namaさんは決して不審者っぽくは見られないように思いますが。
ちなみに、私はこの1年くらいの間に3回職務質問を受けました。
あ、こないだの暗渠マラソンの時に、皆さんはどうなのか聞こうと思っていたのに忘れましたw
投稿: 猫またぎ | 2010年11月11日 (木) 17時16分
>リバーサイドさん
矢印、わたしも好きすぎてあるだけ載せてしまいました。すごい引力です。
王禅寺、行かれたことがあるのですか。わたしは絵図を見なかったらきっと知らないまま、縁がなかった場所です。しかも1日では追いきれなかったので、また行こうかなと思っています。
>imakenpressさん
こんにちはー。ここは、柿生の駅前だけで済んじゃう手軽エリアなので、もし近くに行かれることがあったら是非w
水路に架かる小さな橋、ですか~。この橋欄干もなんかかわいいですよね。これもそうですけど、たしかに地方とかの、民家の前にある小さな橋、わたしもなんか好きです、かわいくて。
>猫またぎさん
8割w でも川崎の自由さにはほんとーに参ります。楽しすぎます。川崎っつったって広いはずなのに、どうしてこうも色んな面白いものがあるのでしょう。
で、職質wwwほんとですか!暗渠でですか!?残念ながら、わたしは職質は受けたことないかも・・・。みなさんどうなんでしょうねww たしかに聞いてみたいですw
投稿: nama | 2010年11月11日 (木) 18時07分
おお、私、新百合ヶ丘に長く住んでいたので、この辺も何度も通りました。
でも、その頃は暗渠とか気にしてなかったので、ここがこんなにすばらしい場所だとは気がつきませんでしたw
うーん。味のある場所ですね、これ。当時はわからなかったけど、これはすごい。
川崎は二ヶ領用水とかもありますし。暗渠スポット盛りだくさんですね。
投稿: 味噌max | 2010年11月11日 (木) 19時40分
>味噌maxさん
お~、柿生、何度も通ってるのですか!
たしかに、暗渠でない目的で行くと、こういう感想にはならないかもですねw すばらしいし面白いですよ。蓋コレクション(王禅寺編がおわったら足します)のうち、衝撃的なものはほぼ川崎産ということになりそうですww
投稿: nama | 2010年11月12日 (金) 11時41分
あーもうすごい面白いですね。川崎もエキサイティングだし、namaさんのリアクションがまた!
個人的には今「多摩丘陵の農村」にはまっているので川崎のこの感じはなんともいえず良いです。「音楽のまち」とかいう前に「暗渠のまち」で売り出した方がいいんじゃないかなんて思うくらい。
投稿: 俊六 | 2010年11月14日 (日) 23時09分
>俊六さん
ありがとうございますwいやぁ、リアクションせざるを得ない景色たちでしたよ~~。
「多摩丘陵の農村」にはまっておられるのですか。それに関するものを何か書かれたら(或いは既に書かれていたら)ぜひ拝見したいですw たしかに農村!な風景、王禅寺には多々残っていました。この後少し間をあけて、他の川崎ネタを披露する予定ですが、やはり農村の雰囲気が残っており、良かったですよ~。
じつは王禅寺については、「水路と柿のまち」という、キャッチフレーズを心の中でつけておりましたw
投稿: nama | 2010年11月15日 (月) 13時01分