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桃園川支流を歩く その38阿佐ヶ谷ジャズの周辺

阿佐ヶ谷ジャズストリート、というイベントが10月にありました。
いままで、混みそうだからと行かなかったけれど、今年は行ってみました。
そんな行動に出たのは、そのすこし前に有楽町の路上で聴いた、すてきな演奏がきっかけです。わたしはジャズにはあまり詳しくないけれど(持ってるのは大御所のを少しだけ)、”疾走感のあるジャズ”がとても好きで(sleepwalkerが大好き。クラブジャズ、と呼んでいますがジャンルのことはよく知らない)、そうしたらある日街角でとても好きな感じの演奏をしている方々が居て。なかでもドラムがとても良かったので、なんでだったか忘れてしまったけれど、演奏が終わってからそのドラムの方と少しお話をしたのです。そうしたらその方が阿佐ヶ谷のイベントに助っ人で出るから、と。「茶漬け」とかなんとか仰っていて、これも縁だぞ、今年は阿佐ヶ谷いこう!と、胸に決めたのでした。

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・・・そこで「茶漬け」と名のつくひとたちを探し、いつもよりもザワザワとしている阿佐ヶ谷へと。もちろん、ジャズだけじゃなくて暗渠ネタもぶっこみますよ。

まずは阿佐ヶ谷駅前。ここも川筋があります。以前、相澤堀を阿佐ヶ谷駅まで辿ってきたことがありましたが、その先、相澤堀は駅前を通って桃園川本流へ向かいます。そして、地図によっては、駅前ロータリーのあたりに池が描いてあります。人工度がめちゃめちゃ高いですが、今はこんな池があります。

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しかしいま駅前でもっとも目立つのは、貯留管工事の緑の建物でしょう。そこには以前見学に行きましたが、その裏がこの日はこんなことに。

演奏の会場のひとつになってるのでした。さて、あのドラムの人が発していた「茶漬け」ということばを探します。すると、該当するのはHibi★Chazz-Kというグループ。

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演奏しているらしき場所へ向かうと・・・、うはぁ、人がすごい固まってる。(でも、思っていたほどコミコミじゃなくって、これならまた来たいな、と思えるゆとりがあります。)

通りすがりの酒屋さんで、アスポールという林檎のお酒を一杯買って、呑みながら聴こうじゃありませんか。

しかし、そこに目的の人はおらず、スタッフさんに聞いたら、「順番が変更になった」・・・

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なんかよくわからないけど、わりと柔軟なスケジュールなのかもしれません。そりゃまた、中央線的で良いです良いです。別なスタッフさんが「アーケードをウロウロしていれば会える」と仰ってたので、ウロウロします。
すると祖母から電話があったので、立って話してると・・・、なんか妙にうるさくなってくる。数歩離れても、どんどんうるさくなってくる。・・・移動しながら演奏しているグループが数組あるのでした。ホラ、向こうからたのしげな団体がやってきましたよ・・・

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上の写真はまた違う人でしたが、お目当ての茶漬けさんも移動式みたいでした。でも残念ながらドラムはさらに違う方(助っ人の助っ人?)でした。でもでも、パワフルですてきな演奏で、なんかファンも多いみたいで、こんな風にスゴイ人だかりが、あとからついてってました。
過ぎると、またがらん、となります。

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阿佐ヶ谷じゅうで演奏があるので、あちこちへ移動してみます。北口に、「とろけるチキン」という新しいお店ができてました。
炭火の上でぐるぐるぐるぐる、まるごと鶏が回転してる、なんてダイナミック。引力に負けて、並んで買いました。これが、なかなかうまし!わたしは鶏の皮ってもんが苦手なんですが(パリパリしてればOKなんだけど)、ここの皮はパリパリじゃないのに美味しい!すばらしいこと!

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チキンを待ってる間も、後ろをジャズの演奏が通って行きました。おもしろいなあ~~、このイベントww

さらに北上して、松山通りをウロウロ。いままで気づきませんでしたが、北側支流(仮)のさらに北に、井戸がありました。タイガーでもドラゴンでもない気がする!

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それから駅に引き返して、相澤堀のつづきを下ります。年代によって流路が変わるようですが、北口を出て右側、高架のすぐ下を東流するものがあります。それと、もう一本北側の商店街とをつなぐ、この車止めのあるところは、わたしはタイタン支流(仮)と呼んでいる、ささやかな流れです。だって隣にタイタンがあるから。

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北口のほうの相澤堀の、流路はおそらくここです。

リバーサイドさんが、相澤堀(相澤用水)について書かれているときにも、ここら辺の写真を撮られていました。

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わたしはずっと、この右側(入れないほう)が暗渠だと思っていたのですが、ケロキ師に聞いてみたところ、それははっきりとはわかっていないとのことでした。ちなみにある時期までは、線路の位置に流路があったとのこと。

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1枚前の流れは、この建物の向こうで、けやき公園に出てくる桃園川本流と合流するようです。

その手前の、この建物の位置には、沼か池があったようでした。

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さて、また駅の方に戻ってきて、駅付近を探ります。相澤堀の阿佐ヶ谷駅付近の流路は、史料によってホントさまざまなんです。

まず、駅の南東にある一番街のあたりは、湿地帯だったようです。そこを回っていく流れもあったようで、かなりそれっぽい雰囲気を放つのがここ。

後から確認したら、翠月庵さんも阿佐ヶ谷川と推測してらっしゃいました。後日訂正:翠月庵さんは、ここを阿佐ヶ谷川の本流とは考えていらっしゃらず、もっと西の方で北上していると推測されています。

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入っていくと、このようなナナメっている区割り。あやしいあやしい。
そして、ここを抜けると、そこには雰囲気のよさげな飲み屋さんが数軒建っていました。しかし、ゴールデン街なみにハードルの高い雰囲気です。

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うわさの湿地帯跡商店街、一番街はここです。ジャズストリートは夜までやっているので、このときも阿佐ヶ谷のあるエリアではジャズが聞こえまくっているのですが、なぜかここら辺は我が道を行く雰囲気です。
串カツ屋さんに、ガーナ料理、焼肉・・、ふらっと入りたくなるお店がいっぱい。

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さらに、どーん!
さすがだなぁ・・・。これはすごくステキです、あえて夜中の3時とか、朝の8時とかに行ってみたいよ・・・。酒、ツマミのほか、ラーメンまで置いているという、何時に行っても自己完結できるお店です。

ちなみにこのとき発見した情報「大人の縁日」。こんなすばらしいものも、湿地帯跡商店街では行われているのでした。行かねば。

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昭和20年の地図において、相澤堀(相澤用水、阿佐ヶ谷川)の流路っぽく描かれているものは、駅前でカクッと折れて北上し、線路を越えています。その「カクッ」の位置に行くと、そこにはこんな大衆居酒屋がっ・・・!後日追記:正しくは、このお店の後ろ側の、現在道の無いところが流路のようでした。gooの昭和22年航空写真でも確認することができます。

この外観、たまりまへんな。(後で呑みに行ったら、料理も美味いし、かなりデキたお店でした!)

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ここらへんも流路らしいです。このとうふ屋さん、味わいがすばらしい・・・。店内にあかりが灯っていましたが、お店が開いているのを見たことは無いので、残念ながら営業はしてらっしゃらないのかもしれません。

駅、南東の湿地帯はここらへんまで。つぎはもっと西へ行き、駅南西の暗渠も見に行きます。

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それは、以前リバーサイドさんからいただいた情報(文化女子大杉並高の方から来る流れ)で、わりとはっきりとした暗渠がありそうなのです。

向かう途中にすごく気になるサンドイッチ屋さんがありました。こういうレトロな手づくりサンドイッチ屋さん、好きです・・・(サンドーレ、ってチェーンなのですかね、知りませんでした)。

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そしてその先に、久しぶりのコンクリ蓋!!

杉並で、新しいコンクリ物件に出会うのはけっこう久しぶりです。うれしい~~!!ワクワクする~~~。

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1枚前の写真の、下流方向を見ます。民家の敷地内に入って行ってしまいます。

が、その手前のこの横断ップリがじつに味わい深い!!

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追える方向へと、上流へ向かうと、カーブしています。うははー!

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しかし曲がったとたんにプツン、と途切れます。ここの水源は不明とのこと。残念ながら周囲を見ても、よくわかりません。

そして、杉並史跡散歩地図によれば、このあたりにもう一本暗渠があるかもしれないのですが、それは全然痕跡がありませんでした。

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さきほどの民家の敷地よりも下流へと向かいます。すぐに相澤堀との合流地点に至るので、相澤堀の中から探ります。

すると、このアパートの敷地の中をコンクリ蓋らしきものがはしっていました。うわーん、暗い・・・

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ここにコンクリ蓋の途切れ目が、あるような、気がする!

ちょっと不自然なはみ出し方をしているのでたぶんそうだと思うんですが、うーん、ここは歩いたことがあるのに、気づかなかったです。

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もう一度、駅に向かいます。すると、相澤堀より1ブロック北側にも車止めを見つけました。

ちなみにこの手前は、”杉並の川と橋”によれば、”西窪”と呼ばれる窪地だったようです。湧水もあったようなので、そこで湧いたものが駅方向へ流れる、始点だったのでしょうか。(そしてこの場所の南隣=釣堀のあたりは、”杉並の通称地名”によれば、”阿佐ヶ谷田圃”。)

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その西窪からの流れ(?)を、駅へと向かっていくと、あ!相澤堀とを結ぶかたちで、車止めがある・・・。
ちょうど、川端商店街の、飲み屋横丁みたいになっていてすごく気になっていた通りでした。ここもだったかー!田圃をつなぐ用水路かなにかでしょうか。
すぐそこのお店は、道にせり出した席があります。暗渠呑みができる席!

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もう少し駅に近づいていくと、自転車置き場のすぐ脇でした。暗渠と自転車置き場、これも組み合わせとしてはよく見る気がします。

・・・なんだか、ジャズそっちのけになってますけど、いいんです。

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駅前であと2箇所だけ、確認したい場所が。ひとつは、パールセンター沿いの、池があったとされる場所。

痕跡は無いかもしれないなあ、と思いながら確認しにゆくと、そこは駐車場でした。しかも、前から駐車場っていう感じの。ちょっとうれしい。

追記:「杉並区史探訪」によれば、かつては”森一材木店辺りに、広さ百坪位の深い池”があったとのこと。でかっ!この池は、中央線の盛土用に土を売ったところ、請負師が掘り過ぎて池になった、なんていうエピソードがついてました。

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もひとつ、川とは関係なくなってきますが、墓地と描いてある場所も、いちおう。・・・そこには高層マンションが建つようでした。追記:前出の杉並区史探訪によれば、この墓地は用水路(相澤堀)の南にあって、周囲は雑木林で狸や狐が住んでいて、不気味な場所だったようです。

ここらへんはむかし、墓地があって、池や湿地がいくつもあって・・・、じめっとしていて夜は怖そうな場所だったのかもしれません。いまは、駅が目の前。きょうは、ジャズが高らかに響く、にぎやかな場所。

・・・と、まあ、地図なしで書いていると、何がどこにあるやら、って感じだとは思うのですが、今回はここまで。地図はそのうち手書きで追加したいと思います。つぎ、阿佐ヶ谷でもう1記事書きたいと思います。

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コメント

今日はジャズのお話かなと思って読み始めたら、いつの間にか相澤掘に・・・w
相澤掘リベンジおめでとうございます。

あのアパートのコンクリ蓋、見たときは興奮しちゃいました。

投稿: リバーサイド | 2010年11月17日 (水) 21時43分

やっぱり阿佐ヶ谷いいですね。
水の臭いプンプンでしょうか。
それにジャズも混じるとミシシッピデルタまで想起させられます。
そうなると「モヤさま」にも登場した「ヌマヤ」が気になってきます。沼屋?
でもヌマヤの本拠地は川崎みたい…でもでも、出店場所の選考には水の臭いが絡んでたかも、なんてね。

投稿: えいはち | 2010年11月18日 (木) 02時30分

>リバーサイドさん

へへへ、実はこの記事は、”相澤堀の下流をたどる”を書いたものなんですよね~w
あのアパートのコンクリ蓋、くらくてほとんど見えていませんでした(涙)。「こっ・・・こ、これ・・・か?」くらいの感じです。こりゃ、昼間に再リベンジしなきゃいけませんね~~ww

>えいはちさん

ちょっと追記してみましたが、水の匂いプンプンかつあやしげな場所だったみたいですね。今回出した文献ではほかに、「駅の周囲は水田」「駅の構内は殆ど水田」「中央線は田圃の中に盛り土して作った」と、くどい位に田圃っぷりが書かれていました。
・・・ミシシッピデルタにモヤさま、なんだかえいはちさんらしい連想ですねぇw ヌマヤの場所、最後のほうに書いた池に近くて、ちょっと惜しい!w

投稿: nama | 2010年11月18日 (木) 16時02分

こんばんは~。
私も同感、阿佐ヶ谷いいですよね~。
実は私、自転車の他にウォーキングとジョギング(自称ランニングww)もやってまして、チャリ通しないときは新中野―高円寺or阿佐ヶ谷を歩きor走っています。
主に夜(帰宅時)しているのですが、決まったコースを特に決めず、暗渠とか小路をプラプラしてます。阿佐谷周辺はホント良い感じで楽しいですね。(脳内では農村を闊歩してますwww)

投稿: imakenpress | 2010年11月18日 (木) 19時55分

こんばんは。
阿佐ヶ谷川の流路について、一番街の「あやしい路地」なんですが、現在は、少なくとも本流ではなかったのではないかと思っています。
というのも、1963年の航空写真を見ると、阿佐ヶ谷川が中央線の南に出るのはもっと西のようなのです。
ブログ(http://lunaverde.jugem.jp/?eid=9) にはちょろっと書いたのですが、サイトの記述を放置したのは私の責任です。すみません。

ところで、今日(11/18)の日経夕刊に「世田谷の川探検隊」の庵魚堂さんが載っていますね。

投稿: 翠月庵 | 2010年11月18日 (木) 21時46分

翠月庵さんの情報に思わず反応してしまいました。

こちらで読めるようです。(無料版でよいのですが、ID取得をする必要があります)
http://www.nikkei.com/life/living/article/g=96958A90889DE3EAE1E4E6E3E5E2E3E5E3E3E0E2E3E2979EE382E2E2;p=9694E3E6E2E4E0E2E3E2E4EAE1EA
HONDAさんのお話も文章の中に出てきます。

暗渠探索も社会に認知されてきたのですかね。

投稿: リバーサイド | 2010年11月19日 (金) 01時00分

>imakenpressさん

こんばんわ~。えー!歩きor走りもやられてたのですか!こりゃあいよいよどこかですれ違っていそうですねw
農村かつ水だらけイメージ、を、思い浮かべながら阿佐ヶ谷を歩くとはステキな帰り道ですね。わたしは高円寺に肩入れしていた期間が長いのでw、以前は阿佐ヶ谷のことを「上品すぎる」と思っていたりしたんですが、こう探索してみると、色々とおもしろくって好きになってきました。

>翠月庵さん

いえいえ、わたしのほうこそ、ちょっとよろしくないリンクの貼り方をしてしまったようで、すみませんでした。文中のリンクは解除し、訂正文を入れてみましたが、これで大丈夫でしょうか。たしかに、gooでもそうですし、昭和20年の地図でも水路はもっと西で北上しています(居酒屋鳥元の後ろのあたりで)。しかし、大正の史料ではそうでもなかったり、甲武鉄道以前は線路のところが流路だったりと、本流の川筋は一定ではないようです。わたし自身まとめきれていないので、正確な変遷をまだ書けませんが。。いずれにせよ、ブログも拝見したことがあったというのに、不注意でご迷惑をおかけしてしまうようなかたちでのリンク、申し訳ありませんでした。反省。
そして日経の情報をありがとうございました!

>リバーサイドさん

うおおー、日経の記事が読める情報をくださってありがとうございます!実はわたくし、新聞というものを取っていないので、どうやって日経夕刊を手に入れようかと、悩ましく思っていたところでした。やったー、ぶじ読めました。庵魚堂さんもHONDAさんも載ってらっしゃいますね~。日経というのがふしぎですけど、うれしいですね、なんだか。

投稿: nama | 2010年11月19日 (金) 20時58分

おおー。日経の記事みました。確かにIT関連で全部完結しちゃったらもったいないですよね。現地に行ってなんぼかもしれません。
タイガー&ドラゴン以外のポンプも多いですよね。でも、タイガー&ドラゴン以外のポンプは、銘柄?(機種名?)が書いていないことが多く、会社の特定など難しい気がします。その辺やはりポンプも自己主張してほしいw

投稿: 味噌max | 2010年11月21日 (日) 16時47分

そうそう、IT枠だったんです。なぜか。そんなわけでgoogle earthの東京地形地図を紹介しておいたら、しっかり記事になってました。

投稿: HONDA | 2010年11月21日 (日) 21時43分

>味噌maxさん

ITに強い味噌さんならではの配分で、これからも我々を楽しませてくださいな。
タイガー&ドラゴンはもちろんあの記事意識なので、コメントありがとうございますw そうですか、銘柄を読もうとすらあまりしてませんでしたが、書いてなかったりするのですね。なるほど~。・・・それらにも(仮)とかで名前付けちゃったらどうでしょうw

>HONDAさん

IT枠でしたねぇ。事前のおはなしなどから、むしろ、どんな取材だったのかが知りたくなってしまいましたw

投稿: nama | 2010年11月22日 (月) 12時36分

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