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地形にひかれて王禅寺 その2

柿生の駅前だけで、実は王禅寺には近寄っていない前回。
今回は、王禅寺に行こうと思います。
さらに、前回は絵図だけでしたが、これはちょっと地形図でなければ伝わりにくいかもしれないと思い、珍しくgoogle earthをキャプチャ。

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これが、わたしがまるっこさに惹かれた王禅寺村であります。
・・・そこへ向かう前に、またもちょっと離れて西へと寄り道しちゃいます。だって、「隠れ谷」なんていうすてきなものを見つけてしまったのですもの。

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隠れ谷へいくには、線路沿いに新百合ヶ丘まで行かねばなりません。なんて効率のわるいっ

途中にあった、ふる~い説明板(?)。どうやら、盛土・切土について、取り決めがあるようです。これをみると、1~2m以上の地形の変化はあまりなくって(許可がおりれば別だけど)、むかしの地形がわりと残ってる、と考えていいのか・・・はたまた、ひどい造成が行われたことがあったのでこういう取り決めになったのか・・・

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まあ、おなかもぼちぼちすいてきたので、先を急ぎます。道路沿いを歩いていると、右側は結構ワイルドな山だったり谷戸だったり。そしてその谷戸から来ているような側溝があって、中からせせらぎが聞こえます。そしてそのせせらぎは、いつの間にか足元の歩道暗渠になっています。

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その歩道暗渠はぐる~っと歩道をつたって、線路の脇へ出ます。

これは小田急線の線路脇ですが、柵の間の少しくぼんだ所に、細い開渠があります。

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そしてその開渠は、この地点で線路を横断し、

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線路を越えたら蓋暗渠になっていました。

この蓋、そんなに見かけない気がします。スタイリッシュな感じ。

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そして麻生川へと注ぎます。ジャーー!

結構な”滝”で。おそらく山から来ている湧水が主だと思うのですが、くさくはないけれど、なぜかあまりキレイに見えない・・・麻生川も、水自体は汚くないはずなのに、キレイに見えない・・・。 

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麻生川に沿って、しばらく歩きます。・・・すごい谷です。この小田急線の高架は、こんなに上に見えるけれど、川の両側、そんなに遠くない位置で、この高さ=地面になっています。麻生川の谷だけが、深く低くなっているのです。

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うーん、良い景色だなー。
そろそろ目的地が近付いてきたので、谷を上り始めます。麻生川ちかくの道路には、名もなき暗渠がたくさん。ここもなぜか二本構成です。

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やっときました隠れ谷!ここは隠れ谷公園で、写真奥がうっすら谷頭になっています。そこに石碑があり、
この付近一帯は小高い山と大小の谷(やと)のある山合いの地であった <中略>この公園の付近は 小さな谷(やと)で隠れ谷(やと)と 呼ばれていたので上麻生隠れ谷公園とした
と、書いてありました。・・・できれば、何故隠れ谷と呼ばれていたかが知りたかったよ・・・。

それにしても、ここら辺では、「谷」と書いて、「やと」と読ませるんですね。たしかに、絵図や史料でもそうなっていた気がします。

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さあ、隠れ谷を探してだいぶ離れちゃいましたが、こんどはショートカットしながら王禅寺村へと向かいましょう。 
途中、自転車置き場が上にのっかっている、”新百合ヶ丘調整池”がありました。最初にお見せした地形図の左上にある谷戸を利用した調整池のようで、2つあるうち上側には水が溜まっており、下側には細い開渠が見えました。麻生川に注ぐようです。
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さて、いよいよ「王禅寺」と地名のつくエリアへ近づきます。麻生川支流の谷を上り、台地を歩いていると、盆栽が。魚屋さんの店先に、なんだか魚屋さんのかおりのする盆栽が。中をのぞくと貝殻がいっぱい入ってました。

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王禅寺五差路に来ました。あ、クリーニング屋さんがある、と思ったら、その裏手には暗渠がありました。真福寺川の傍流のように見えます。
ちなみに、やや南西に”吹込”という名の交差点があります。絵図には”吹込谷”という谷があったので、名が残されているのでしょうか。

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実はけっこうお腹がすいてきていて、真福寺川よりもはやくご飯が食べたい、って思っていたのですが・・・、突然あらわれた、真福寺川暗渠の異形さに、気持ちがもってかれてしまいます。

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後ろを向いて下流も見ようとします。こんどは半分開渠だ・・・!変則ハシゴ式というか。
ちょっと圧倒されます。
ちなみに地図上では上の写真が真福寺川の上流端。でも、こんなに深い谷、まだ上流がありそうな気がしてしまいます。歩きまわりましたが、現在の地形だとやはりそこらへん止まり。絵図では、もう少しだけ北東に、”はい松谷””かうヶ谷”などがあり、細流があったかもしれないと想像します。

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いや~、これが王禅寺村ですよ。王禅寺西の静かな静かな住宅地を歩いていると、しばらく台地だと思っていたのに、いきなり片方がガクン!と谷に変わります。この、”いきなり、深い”のは王禅寺のすごいところかも。崖との間に住宅が入るので、谷がうまく撮れません。。

で、この谷がいま目指している、黒須田川の上流部です。

 

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また、谷戸を使った調整池がありました。”日吉谷調整池”で、流末は黒須田川です。やはり中で開渠がチョロチョロしてます。
そして、なぜかテニスボールが何個も落ちていました。

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さきほど居た台地から、黒須田川の谷へと下りてきました。ん~谷ですねえ。

川は、写真左端の竹藪下をひっそりと流れています。

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拡大すると・・・、意外なことに、この大自然の中でもハシゴ式開渠でした。

右から1本、支流を合わせています。

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さきほどの調整池が”日吉谷”。ここらへんには今も日吉の名が残ります。”日吉”交差点と”日吉の辻”交差点など。
その日吉谷(やと)には、よく見ると5つほど更に細かい谷戸がありまして・・・、その1つを使ったもうひとつの調整池がありました。”王禅寺日吉谷調整池”・・・ですって、まぎらわしーw

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・・・って、ん?視界に何か、気になるものが入りました。

ね、猫!

うはぁ、絶対ニンゲンには入れないところだもんなあ・・・。さぞかし余裕の、どや顔してるのかなあ。

で、ここにもやはり、細流が(略

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で、さんざん引っ張ったお昼ご飯目的地は、ここでした~。ここら辺に多い、溜池を使ったのではと思われる釣堀、FISH・ON!王禅寺。(どうでもいいけどFISH OH! ZENJI だと思ってました。)
できれば、ここで釣って焼いて食べたい!釣れなくても焼き魚食べたい!・・・って思っていたら、釣る時間はもはや無さそうな上、レストランの食事が予想外に上品系・・・。

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女性スタッフばかりで、五穀米、とか、赤ワインでじっくり煮込んだハヤシライス、とかです。しかも少ない(しかも少ないのに千円以上する)。味は申し分なく美味しいし、釣堀が目の前でたのしいんだけど。。
個人的には善福寺川、武蔵野園併設の食堂の焼きそばがサイコーにうまいので、ああいう雰囲気を想像してしまうと、たぶんカクッ となっちゃいます。

でもお土産に”ニジマスの燻製”を売っています。これはし~~っとりしてて、深い味わいでかなり美味しかったです。ここのニジマスの燻製は買うべし!!!

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なにより、ここらへんはあまりお店が無いので、さっきのレストランがやっていなかったらヤバいことになってました。美味しいとこで助かったかもな。
あ、そうだ、その釣堀とも関連しているであろう、黒須田川を追います。今回追っている川たちは、ぜんぶ、鶴見川の支流です。そういう先入観があるからなのか、な~んか、鶴見川”っぽい”。。

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いま追ってきた日吉谷の流れの、すぐ東隣に、もうひとつ谷があります。その谷の入口は旧石川村との村境で、日吉山王があります。

日吉山王の脇がここ。今見えている、奥の方に”源佐衛門谷”があり、そこからまた川が流れてきています。

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その流れは、この2~3mのコンクリートの壁と、右側の工事現場に挟まれて、もじゃもじゃに囲まれていました。

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壁によじのぼってよーく見ると、あ、蓋だ。こんなに上流なのに、暗渠なんですねぇ。
すごいじめっとしてるし、ゴミが捨ててあるし、かなり打ち捨てられた感があります。

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その暗渠が道と交わるところ。これより下流は、ハシゴ式開渠に変わります。

この流れと、さっきの竹藪脇の流れを合わせ、黒須田川は黒須田村に入って行くのでした。

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さてと、黒須田村へはいかず、王禅寺村へと戻ります。黒須田川のすぐ西には小高い山があって、そこに星宿山王禅寺があります。登るのはきついけど、せっかくなのでおまいり。星宿山、ってなんだか乙女だなぁ。。

ちなみに、王禅寺村に特徴的なこととして、「谷戸を中心とする集落の共同生活の精神的な拠所として、王禅寺を取り巻くように、村の鎮守五社が谷戸の背後に配置されて」いるということがあります(”川崎歴史ガイド王禅寺”より)。ここは土壌も水も豊かではない土地だったそうで、そういう意味でも”背後から守ってもらえている”安心感は必要だったのでしょうか・・・。

さて王禅寺編、写真を撮りすぎたのでもうちょっとだけ続けます。今回あるいたところで、絵図にも載っていたものを、地形図にプロット。う~ん、数ある王禅寺の谷戸のうち、はんぶんも巡れていないかも!

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コメント

こんばんはー。
昔日の谷の風景が浮かんでくる絶景っすね。
小さい水路に架かる橋もそうですが、鉄道&水路風景にもハマっています。

投稿: imakenpress | 2010年11月14日 (日) 21時53分

>imakenpressさん

をを。今回は、小田急線線路×水路と、小田急線高架×下に水路(写ってないけど・・・)、でしたもんね。わたしも鉄道×水路はちょっと好きみたいなんです。なぜか、電車が来るまで待ってから写真撮ったりしてしまうのでw あぁ、今わたし鉄だと思われてるんだろうな~、とか思いながら撮ってますw

投稿: nama | 2010年11月15日 (月) 11時19分

「王禅寺五差路のクリーニング屋はちょっと高いので、コープ神奈川の向かいにクリーニング屋を利用していました」くらいの、昔の生活圏内だった場所を散策されているので驚きました。隠れ谷の由来もどこかで聞いた気もするのですが、うーん、そのころは谷とか興味なかったからあれです、もったいないです。
にしても、こう暗渠中心の視点に変えてみると、土地勘のある場所も別な世界に見えてきますね。不思議です。

投稿: 味噌max | 2010年11月15日 (月) 15時43分

>味噌maxさん

わはー、ご近所!w 王禅寺五差路とか、ふつうに話題に上るくらいだったのですねー、ちとうらやましいです。隠れ谷の由来、「谷自体が隠れているのか」「誰かがそこに隠れていたのか」が気になって仕方ないのですw いつかリベンジしたいところ。
そうなんです。暗渠中心の視点で見ると、わたしも以前さんざん住んでいたはずの場所が、ぜんぜん違う風景ばかりに見えてきてすごく面白い!と思います。これもこの趣味の醍醐味の一つかもしれません。

投稿: nama | 2010年11月15日 (月) 17時38分

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