桃園川支流を歩く その34阿佐ヶ谷の貯留管工事見学、それから、それから。
あるとき阿佐ヶ谷駅前にできた、おっきなおっきな薄緑いろの、四角い箱。
なんだろな~?と、さんぽしながら、電車の中から、駅のホームから、ついつい見ていました。その四角い箱には、もともと説明の文章が書いてはあるのですが、わたしは気にはなりながらもそれ以上掘り下げず、むかし阿佐ヶ谷駅前の位置には池があったという話もあることだし、いつか相澤堀の続きを記事にするときに、適当に関連付けて書こう~くらいの、適当なノリでおりました。
そこへ、ちょうどその箱の中を見学できますよ~という、ものすごくうれしいお誘いが!!いただいた時間のうち、おしりの方には用事が入っていたので、途中抜けをしてしまいましたが、すこし早く行って、阿佐ヶ谷の桃園川支流を見たりしていました。
まずは、北側支流(仮)の上流部分。わたしは、なぜか病み上がりに半分だけ辿る、というすごく中途半端なことを過去にしていますw
ほんじつは、残りを攻めましょうということで。リバーサイドさんも記事にしておられますが、ここが辿れる北側支流(仮)の始点です。
これは天沼川の蓋暗渠終点。桃園川探検隊さまの地図だと、この流れが弧を描いてさきほどの北側支流(仮)始点に合流しています。
目で追っていくと、ちょうど、その弧を描くはずの位置に建っている家の壁もカーブしています。
北側支流(仮)に戻りましょう。雨上がりということもあって、ずいぶん湿った空気ですが、もともとここの地面は苔が多く、湿っていそうでした。
ぼうっとあるいていると、視界の片隅に井戸が見えました。
・・・わたしはとても目が悪いのですが、コンタクトは痛くてつけられない・眼鏡は似合わないのであまりかけない→その結果いつも視力が低いまま、さんぽをしています。ところが、井戸のたぐいはレーダー機能搭載なのかわりと見つけられて、この日も我ながらびっくり。
そして北側支流(仮)の、以前ちょこっと見て「憩い暗渠」と思ったところへ達します。
ここにだけ、木を挟んで椅子が二個ありました。ガーデニング充実の、すてきな椅子です。しかし、座るには少し勇気が要ります。
あとは、すでに紹介済みのところばかりあるきましたが、この時期だからこそ見られる、すてきなものもありました。
ここは桃園川本流のやや北にある、卯の木遊歩道と書かれたところ。蓋暗渠をたのしんでいると、向こうにふと、オレンジ色の敷き物みたいなものが見えます。
それは、なんと金木犀のじゅうたんでした!!
わたしはもとから金木犀が大好きなんですが、こんなじゅうたんは見たことがありません。しかも、桜吹雪のごとく、上から舞い散ってくるのです。
すごく良いにおいのする、うつくしいじゅうたん!!
それから、もうひとつ。これもまた阿佐ヶ谷に在る、河北総合病院の前に出てくるコワイ蓋暗渠なのですが、終点部分が空き地になっていたので、こうやって途切れた暗渠を見ることができました。
リバーサイドさんの記事では、ふるい家が建っていたと思われる位置です。
こうやって、断面までしげしげと見つめることができます。
いつ、何が建つかわからないわけなので、これもいまだからこそ見られる光景かもしれません。
・・・でもこの途切れ方、って、何・・・?ここってつながってるんじゃなかったの?と、疑問が増すものを見てしまいましたw
で、そろそろ集合場所へ行こうかな~と、あるいていると、また井戸(隠された井戸w!)が。
やっぱり何度でもあるいてみるものですねえ。
で。きょうのメインイベントは、こちらでございます。
(阿佐ヶ谷ジャズストリートもお忘れなく~~w)
この箱の中に、入れるのです~~(要予約!)。中には工事現場の方がいらして、丁寧に説明をしてくださいました。
まずは工事の概要を(写真撮影の許可を頂いてます)。阿佐ヶ谷駅前一帯は地盤が低く、ここ50年で数回浸水しているそうです。そこで、もともとある下水管が集中豪雨などに耐えられないときのために、雨水を溜める下水道管(貯留管)をつくる工事をするのです。その貯留管は、このイラストのように中杉通り地下に埋設され、雨水を取り込む立あなが南と北に1つずつ設けられます。つなぐ先は桃園川幹線なので、それだけでも興奮!
工事の際の騒音を防ぐなどの目的で、この緑のでかい箱(=防音建屋)はあるのだそうです。
さて、地下にある工事現場へ・・・は、入れませんでした(涙)。工事中で、危険みたいです。
でもこうやって、眺めてるだけで、「タモリ倶楽部みたいでたのしい!!」と、興奮します。地下モノだし!
これが地下トンネルの入り口です。
シールド工法で掘り進め、立あな2つと、横のトンネルを1つつくるのです。
横のトンネルは徐々に傾斜させ、桃園川幹線方向へと水が流れるしくみです。
流れた水は、晴れた日に桃園川幹線に取水され排水されます。
掘ったら当然、土が出てきます。その土はこのクレーンでもって移動させ、
この土砂ピットに溜められます。
みてみると粘土っぽい土が溜まっていました。この土は、トラックで千葉の土処分場まで運ばれるのだそうです。・・・また遠いんだねぇ。
その土砂ピットのとなりには、雑排水槽というものがあり、くろい水がけっこう溜まっていました。こちらは、掘削時に使われた水(シールド工法ってたしか水流しながらやりますよね)を捨てる場所。
こちらの水は排水しても良いような状態まで処理してから捨てるのだそうです。
掘るのは、”武蔵野砂礫層”と、”ローム質粘土”の間。地層をチェックしてから掘るので、地下水はあまり出ない、と仰ってました(掘削時に地下水が吹き出ないかという質問が何度かありました。やっぱり気になりますよね。)
工事がひととおり終わるのは、来年春の予定。終わったら、この箱は撤去され、公園になるのだそうです。
・・・とまあ、いろいろな説明をいただいて、感心したり興奮したり。とても興味深かったです。しかし直前のさんぽ時から蚊に刺されまくっていて、ずっと足を掻き掻きしていました(帰ったら一箇所は掻きすぎてあざになっていました;)。この時期の蚊さんはあなどれず・・・刺すも刺したり、15箇所!
いやいや、蚊は置いといて、これは本当にとても良い機会でした!!手配してくださったケロキ師、ご招待くださった桃園川関係のみなさま、それから工事現場の方々、どうもありがとうございました。
(今回の行程地図、あとから載せたいと思います)
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コメント
はじめまして、翠月庵と申します。いつも楽しませていただいてます。
水路敷の上にのしかかるように建っていた崩壊寸前の家、撤去されたんですね。新しい家が建つ前に見に行きたいと思います。
投稿: 翠月庵 | 2010年10月12日 (火) 21時55分
>翠月庵さま
はじめまして、コメントありがとうございます。と、いいますか、実はわたし、翠月庵さまのサイト、よ~く見ていました!!あの地図はかなりカッコイイですし、全体の雰囲気、ひとつひとつ、とてもわたしのツボで、憧れておりました。その方が拙ブログを見てくださったなんて・・・と、いま、ひとり感動しております・・・。
たとえば、
http://kaeru.moe-nifty.com/ankyo/2010/01/post-ccb0.html
↑ここで「下準備のさいに見たカーブ」は、翠月庵さまのところで見たものでした。
http://kaeru.moe-nifty.com/ankyo/2010/02/post-6f4f.html
↑こっちのほうは、馬橋稲荷支流を歩いた後に拝見していて、「すでに同じ名前をつけている方」は翠月庵さまのことを指します。
ぜひ、リンクさせていただけるかどうかお断りしてから引用したくって、けれども去年か一昨年に活動を止められているように思いまして(あと、アクセス先がわからず)、上記の記事ではぼかした書き方をしているのでした。
・・・あらためて、コメントありがとうございます。今後もまた、やり取りをさせていただけましたら大変光栄です。
で、撤去された家のこと、この写真だけでわかるなんて流石ですね。あまりに説明不足かと、地図を入れようと思っていたところでした。天沼二丁目支流(仮)の上流端空き地も、あっというまに変わってしまいましたし、お早めに見に行かれた方がいいかもしれません。。
投稿: nama | 2010年10月13日 (水) 19時02分
これはこれは、ご覧になっていた方がいらっしゃるとは……。
長いこと更新が滞っている上に直さねばならない間違いもあったりしてお恥ずかしい限りですが、とても光栄に感じています。
今後とも是非よろしくお願いいたします。
投稿: 翠月庵 | 2010年10月13日 (水) 22時37分
>翠月庵さま
とても好きなサイトだったので、いまも活動しておられるとわかっただけでも、もう、とても嬉しいです!!
そしていま気づいたのですが、、、気づかぬうちに同じ支流に同じ名前をつけていたりしたようです、わたし。あの、もしよろしければ、それらの重複している支流の記事中への貴サイトのリンク、および、暗渠リンクへの追加をさせていただきたいのです。いただいたコメントなのにすみません。
投稿: nama | 2010年10月14日 (木) 18時48分
もちろんリンクは大歓迎です。私のサイトのリンク集にも、namaさんのブログを追加させていただけたらと思います。
投稿: 翠月庵 | 2010年10月14日 (木) 23時35分
>翠月庵さま
何度もお引き留め(←みたいなコメントの返し方を)して申し訳ありませんでした。ご了承いただき、さらにリンクまでしていただけるなんてありがたき幸せ!です。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
投稿: nama | 2010年10月15日 (金) 10時49分