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泣く子も黙る浜町川

オシゴト帰り、夜さんぽ。
今回は、浜町川の一部です。自分の中ではなんとなく、”(神田の)藍染川・竜閑川・浜町川”の3つがセットになっていたのですが、浜町川はその中でも訪れるのが一番最後になってしまいました。それは活動圏から近い順ということもあれば、(なんとなく)川の名残なんて無かろうと決め打ちしていたこともあり。しかし・・・、ここがもっとも良い味わいだったのです。

浜町川は、失われた川のひとつですが、”埋立てられた”のであり、自分が”暗渠”と認識している所謂蓋掛けされたものとは異なります。けれど、川筋に道が残り、その下に下水道管が通っているのなら、それもまた”暗渠”なのかもしれません。・・・浜町川は、そんなことを、とくに考えさせられるような川でした。

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さてさて浜町川です。といっても、今回は非常勤先その1から最も近い、大和橋スタートなので途中からです。靖国通りを歩いていると、こんなふうな三角形の植え込みのある、違和感空間があります。この横に、3本の道があってその真ん中が浜町川の跡のようなんですが・・・どんな道かなあ・・・

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ああ、ああ!ちゃんと真ん中に、いかにもな細い道がありました。なぜか暗渠の風情です。しかも、道の真ん中にポールがポコポコと並んでいて、ちょっと変わっています。

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仕事帰りなんで、ちょいと一杯・・・用意していた、こいつを飲みます。

プハァ!

いやぁ~、うまいねぇ。でも、猛暑日&熱帯夜のさなかだったので、あっというまにぬるくなってしまいました。

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藍染川にも竜閑川にも無かった、予想をはるかに上回る暗渠的空間にテンションが上がってきます。すぐに、橋本会館のある一角がみえてきます。

もともと、浜町川に行きたいとつよく思ったきっかけは、ここでした。”昭和幻景”なる本KLO@廃墟徒然草さんのコメント欄で知った本。かなり好みでした)をみて、浜町川跡に2箇所も昭和の残像があることを知りました。

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ひとつは橋本会館、戦後の廃材で浜町川を埋め土地をつくり、馬喰町付近の露店を移転させた処。さらにその前のこの場所は、”願人坊主が群居する一大スラム”であったとのことです。

写真がどうしようもなくてスミマセンが・・・、入口に営業中のお店があったものの、この通り沿いのお店はしん、としています。”スター美容室”は移転、ほかのお店は時が止まっているようです。

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昼間は営業しているのでしょうか?うんともすんともいわない建物たち。別な世界に入り込んでしまったような心持ちになります。

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お隣に公園が出現し、一瞬ヒトの気配に触れられます。
ここらへんは、ちょうど竜閑川との合流点だったようです。道路脇に段差のあるこのような風景はやはり川跡っぽいですが、浜町川の幅は平均15mとのこと・・・結構広いので、この道路=川幅なのではありません。
この道はいうなれば、埋められた浜町川の息継ぎ場所でしょうか。

そろそろ鞍掛橋です。そんなに余力もなかろうと、大和橋~鞍掛橋で帰るプランだったのに、たのしくなってきて思わず先に進んでしまいます。

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しかし、どこまでいってもまっすぐで狭いみち。

こんなふうに、夜空が狭く、青黒く切り取られます。

ただただ、狭いただのビルの裏道を抜けているようですが、実はここら辺、東緑河岸と西緑河岸、という2つの河岸があったようです。

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まっすぐな息継ぎの道は、少しずつ空気を変えてゆき、中には現役らしき商店街もありました。

それにしても主力が”きしめん”の店なんて珍しい気がします。調べてみたら、寿々木屋は立ち食いきしめんの店・・・ちょっと、良いですね。

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お、原爆タイプトマソン発見!(みちくさ学会で学びましたw)

しかし建物の痕だけじゃなく、ぼこぼこと灰色になっているのは一体何?反対側にも同様のトマソンが。
ちなみにここ、鰻屋さんのようです。正面から見たつくりも、レトロで狭く、ぜひここで何か食べてみたい!と思わせる雰囲気です。

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きしめん屋さん・鰻屋さんからグイッと引いたところ。明かりがついているところは居酒屋でした。しかし、外から店内はうかがえず、中からは常連さんの笑いが漏れてきていて、ちとハードルが高いです。

レトロ空間ばかり写していますが、新しいビルやマンションの空間もありました。しかしそういうところでも、下水道局の敷地であるという立て札がたえず立っていて、ここは川だと主張しているようで、うれしいのです。

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もう少しだけ歩いて行くと、さらに、雰囲気のあるところへ出ます。・・・問屋橋商店街です!ここも昭和幻景で惹かれた場所。

2階、3階と積み重なった家々。日本橋周辺の露店が移転をさせられて出来た商店街という、橋本会館と似た歴史がここにはあります。むかしはもっとにぎわっていたのでしょう。

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この道沿いは居酒屋等がびっしりで、夜になると遊び人が押し掛けるので”泣く子も黙る問屋橋”と言われたのだそうです。いまは・・・、居酒屋の看板を掲げているうち2軒に、明かりがともっていました。2軒とも、表にある洗濯機を回しにお店の人が出てきましたが、・・・いったい、何を聞いたらいいのだろう、と、何も聞けませんでした。

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浜町川はまだまだ中盤。久松小学校脇のここは、高砂橋のあたりで、緑道のようになっています。その外観でさんぽをストップしてしまいましたが、実はここから先が元吉原の廓内、橋の遺構?もあるようで(杉浦康著「消えた大江戸の川と橋」による)、じつに艶っぽいエリアなのでした。また来なきゃなぁ。

中央区の展示「水のまちの記憶」によれば(lotus62さん情報感謝です)、実はここら辺が浜町川の歴史的境目でもあります。この近辺の掘割の埋立の背景は①関東大震災後の復興過程、②戦後の復興過程、③東京オリンピック開催に向けた都市改造、④その他、に大別できるようです。そして浜町川は、②の理由で昭和26年まで(※文献により若干ズレあり)にここら辺以北が埋立、生き残った南部分は昭和49年に埋立てられた(④の理由で)のです。

もともと、ヒトの都合で元和年間に箱崎川~東日本橋あたりまで開削され、元禄にさらに竜閑川の位置まで延長され、明治にさらに神田川まで延長されたという、南から北へとつくられた川。そして、やっぱりヒトの都合で、今度は北から南へと埋められていったという、人工度のかなり高い川。
”泣く子も黙る・・・”と言われていた頃の、にぎやかな様子は知る由もないですが、いまもにぎやかさの残る神田や人形町の裏側にひっそりと在る、かつての時代の凄みをしるす浜町川跡は、その存在だけでなにか”泣く子も黙る・・・”威力を秘めているような気がしました。

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1-8 さんぽ:その他の神田川支流」カテゴリの記事

コメント

おーっと、あの靖国通り三角形違和感空間(といっても記憶の片隅に辛うじて引っ掛かってただけですが)から浜町の妙な緑道まで続いてるわけですね。
で、橋本会館。ナントカ会館とかの公民館的なモノも暗渠サインのひとつでは、と思ってるのですが、どうでしょう。
実はもうひとつ、暗渠サインではと最近思い始めたモノがあるんですが…、「ファミレス」です。あ、笑わないで。

投稿: えいはち | 2010年9月13日 (月) 21時54分

読み応えありました。
自然河川もおもしろいのですが、
このあたりの「堀」も生れてから今まで江戸から東京の歴史と表裏一体だけに、紐解くとととても興味深いですね。「威力」とおっしゃるものと同じかも知れませんが、そんな人と都市のエネルギー、みたいなものを感じます。

投稿: lotus62 | 2010年9月14日 (火) 09時53分

昨日の夜、知人との会話。

知人:「浜町のこの辺になんか暗渠らしきものがあるんですけど、知ってますか?」
猫またぎ:「知らない」
知人:(地図を見せつつ)「ほら、久松小学校の脇をこう通って・・・」
猫またぎ:「ほんとだ」
知人:「細い道が長く続いてて面白そうですよ。今度行きませんか?」
猫またぎ:「分かった」

まさにその夜、namaさんが記事を書いておられたのでした。
偶然ってすごいですね。

投稿: 猫またぎ | 2010年9月14日 (火) 12時43分

>えいはちさん

おお~、靖国通りの三角形&浜町の妙な緑道(←コッチはわたしよくわかりません)でわかるだなんて、すごい!
公民館的なものは、学校などと近い感じで、たしかに納得です。・・・しかし、ファミレス?wwファミレスについては説明をおねがいしますw

>lotus62さん

ありがとうございます。わたしは掘割には、自然河川ほどは興味を抱いていませんでした・・・ろくに遺構もないし、だいたい立派な道になっちゃってるし。だけど浜町川のおかげでちょっと感覚が変わったように思います。そう、仰るような”エネルギー”を、正のものも負のものもこめて、感じられる気がします。

>猫またぎさん

すっ、すばらしいシンクロニシティ!! よりによって浜町川ですか!!
浜町川、自分の感動にくらべ、写真がしょぼくてしょぼくて、現場の感じをほぼ伝えられていなくて申し訳ないですが、かなり良いですよ。原爆タイプトマソンも現物はインパクト強いです。”昭和幻景”の風景は、既にうしなわれているものも多いので、2箇所とも在るのがすごい気がします。
 

投稿: nama | 2010年9月14日 (火) 17時26分

ではファミレスについて。
(記事にしようかなとも思ったのですが、なかなかできそうもないのでココでネタばらししちゃいます)
ビルに入居しているようなもろ都心部や、土地の確保が容易なもろ郊外は対象外で、一戸建てで駐車場付きでなおかつ23区内くらいにあるような店舗限定です。
他の暗渠サイン同様、広い土地が必要だったということだと推測します。地下水や排水との関係はなさそうですね。
例、デニ西新宿店(玉川上水新水路&和泉川一支流水源「出羽様の池」)、「青デニ」こと同南青山店(笄川東側の支流)、ロイホ中野店(桃園川)、ガスト杉並和泉店(ココは暗渠ではなく水道用地ですが)、その他何軒かあります。
他の暗渠サインは川だった時代からあったものも多そうですが、コレはほとんど暗渠化されてからでしょうね。言うなれば「最後の暗渠サイン」かも。

投稿: えいはち | 2010年9月15日 (水) 12時27分

>えいはちさん

あ~、ロイホ中野店!駐車場つきかぁ、なるほどです。それにしてもファミレスって着眼点新しいですよね。・・・うーん、でも、杉並だと駐車場つきでも暗渠沿いじゃないほうばかり思いついちゃいます。。でも例にあがってる数もなかなかありますし、こりゃ検証し甲斐がありそうです。今後注意しながらみてって、適宜報告しますね!

投稿: nama | 2010年9月15日 (水) 14時16分

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