桃園川支流を歩く その28天沼川(本村用水路)後編
今回のさんぽのついでにと、少し前にご紹介した天沼二丁目支流(仮)を、ちょこっと見てきました。
まずは、猫またぎさんも気にされていた、階段を接写。
・・・コンクリ蓋ですよねえ。ためしに1枚、持ち上げてみると、あっさり持ち上がりましたw ただ、まさにこの下で使われているコンクリ蓋より、若干サイズが小さいのです。どこかの暗渠で余ったのでしょうか。。
それと。最上流部がなんとこんなことに。つい1週間前は空き地だったのに・・・!!
いやはや、ものごとの流れって速いですねえ。ここで蓋が途切れているのが見られて、写真に撮れて、せめて良かったです。
いやぁ・・・それにしても暑い。コンビニでガリガリ君(ソーダ)を食べて、さ、今回の天沼川さんぽをスタート!
前回は日大二高から桃園川へ下りましたが、今回は遡って、その先分流地点からまた遡って、それから妙正寺川合流部まで、というルートです。天沼川は、T字みたいなかたちなのです。
前回載せたプールのあたりまで、流路は住宅地を斜めに突っ切り、そしてここらへんに、名も無き池が1つあったようです。名残はぜんぜんありませんが、あ、よくみたらここは消防署でした。暗渠サインですねえ。・・・ここらへんのことを書いているのは、桃園川探検隊さまだけで、あとは情報がなく、名残も薄く、むつかしい場所です。
分流地点にもまた、かつては池がありました。桃園川探検隊さまの地図では、本村池が、”すぎなみの川と橋”では、三峰神社の池が、この近辺のどこかに(その2つは同一の可能性もあると思います)。この写真は、現在蓮華寺にある池です。湧水ではないはずですが、手入れがゆきとどいているのか、とても透きとおったきれいな池でした。
その蓮華寺の前の通りです。ここも天沼川の流路です。
事前にgooの昭和38年の航空写真で流路を見ていたところ、ここらへんにはかなりはっきりと開渠が写っていたので、今もおおきめコンクリ蓋があるんじゃないかな、などとたのしみに来てみたんですが・・・なんもないですねえ。
と。がっくりしたのはほんの数秒。
ありました車止め~~~!
わーい。細くて良い暗渠です。この写真の右手は、三峰神社と厳島神社があるところなんですが、非常に雰囲気が良かったです。明治あたりの、この付近が畑と水路ばかりだった頃の空気がそのまま切り取られて残っているような。
うれしいことに、暗渠とわかる道が残されているのは、神社脇だけではありませんでした。まだまだ遡ることができます。
なんだか、ここは不思議と、からっとした暗渠です。湿気や、ちょっとしたどぶくささや、苔なんかが殆どないのです。
”杉並の地図を読む”をみていると、この水路は明治24年、昭和14年の地図には出てきませんが、昭和33年になると出てきます。背景はよくわかりませんが、もとは水っ気のない、からっとした土地に作られた水路なのでしょうか・・・。(”杉並の地形と湧水点分布図”では、妙正寺川合流部~この位置までは一応浅い谷・凹地扱いはされています。)
いったん、大通りに出て、暗渠らしさが見えなくなります。
はて、もう追えないのかな・・・。この位置で、水路はカクカクと”ロ”の字を描くようなんですが。
見失ってすこし困って、空を見上げると、第二宝湯のえんとつが見えました。
(写真、ぼけぼけですみません)
しかし、すごいのはここからでした!!
暗渠は稲荷神社の南側に登場しました。しかも、唐突にコンクリ蓋で!!!
日大二高の下に現れたやつより、ずっと小ぶりです。上流って感じしますねえ。それから、天沼川にある車止めは、どれも古めでと~っても良い味を出しています!
ここはすごい曲がり方です・・・直角を超えてるんですけど!w 天沼川、下流部にくらべ上流部は、人工感がすごいです。
この位置になにかあったのでしょうかね?
まっすぐとかっくんの繰り返しです。けっこう続くのでうれしい。雰囲気もとてもよろしい。
コンクリ蓋ゾーンはここで終わります。見過ごしそうですが、車止めが自販機に隠れちゃってます。
この自販機でお茶を買って、水筒に補充しました。あー、あっつい!
・・・ここから先、水路跡はほとんど追えなくなるのでした。昭和38年の写真でも上流部は見えにくく、手がかりがとてもすくないです。
唯一見つけられたのが、ここでした。奥のほうに緑色の車止めが見えます。南北に走る、わりと太めの暗渠です。お花で彩られ、そして縁石がカーブの入ったちょっと珍しいかたちをしていました。
・・・ここを見つけたときは、めちゃめちゃ嬉しかったですねえ。炎天下でしたが、ミニストップのソフト(←好物)を差し出されるよりも嬉しかったと思います。
このやや北に長島の湧水(仮)という、湧水もあったようです。この天沼川は、悪水路だったようで、長島の湧水(仮)はその悪水路の底から湧き出ていたそうです。湧水点をふくめ、上流部のようすは謎が多いです。けれど、頭の中でイメージしていくと、、、ここらへん一帯は、畑の広がる、その合間を水路が縫う、そんな景色で、その水路はおそらく位置的には清水口から取り入れられていた千川用水の分水のおこぼれなのでは・・・。そして湧水と悪水を混ぜながら、天沼川は、桃園川と妙正寺川へとそれぞれ向かっていく。
さて、では分流地点にもどって、妙正寺川に注ぐほうの流れを追いましょう。
こちらは、河口まですべて暗渠が残っていました。
緑が繁茂する場所が多く見られました。・・・それが、また、やっぱり爽やかなのです。からっとしてるのです。暗渠なのに!
じつに気持の良い、さんぽ道。
早稲田通りを渡ります。見失いかけましたが、早稲田通りの向かい側は数メートル右にずれます。
あいかわらず、古めの車止めが良いかんじ。
これは、意外にも天沼川では唯一の金太郎です。
緑地のわきも通ります。なんか、景色がのどかになってきましたw
車道の脇を、一段下がって流れます。この部分はとっても川っぽいですねえ。2枚前の写真あたりから、それまではうすかった、周囲との高低差を感じるようになりました。
そしてですね・・・、笑ったのが、コレです。
よ~~~く見てください、なんかでっかくないですか?この車止め。
比較のために、わたしの帽子をのっけてみますw
どーん!!
でかいwww なんか意味あるのかww
ビッグサイズ車止めでしばし笑って、するとまもなく河口でした。妙正寺川との合流部の直前になって、とつぜんコンクリ蓋があらわれます!
妙正寺川、ちょっとしか歩いたことありませんが、こういうの珍しいんではないでしょうか。わりと最近まで、この暗渠が機能していたということなのでしょうか。・・・きっとコンクリ蓋暗渠は以前ならもっともっと残っていたんだろうな。
反対側に回ります。
うーん、この景色も珍しいです。わたしたちがよく歩く、コンクリ蓋の断面が、そのまんま見れちゃいます。
・・・こんなに、ペラペラの蓋だったんだなぁ。。
ここ、いくらでも眺めていられそうでした。
前・後編あわせた略地図です。こまかいこと無視で、すんばらしく雑な地図ですが。
天沼川(本村用水路)。人工感も、自然感もあって、杉並のいくつもの川や用水をつなぐ立派なものなのに、気取らず、落ち着いていて、そしてからりと、爽やかで。すてきでしょう?
まだまだ謎に包まれている部分も多いので、これからも調べたいと思います。
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コメント
前回の記事見てから、史跡散歩地図を改めて見ていたら、天沼川上流部の流れは妙正寺川に向っていたので、オヤ?っと思っていました。やはり、桃園川方面と妙正寺川方面に分岐していたんですね。
これは私の妄想の範囲内ですが、阿佐ヶ谷方面に水をひくために、日大二高辺りの水路を作ったとは考えられないでしょうか。
投稿: リバーサイド | 2010年8月12日 (木) 19時13分
コンクリート蓋、手で持ち上がりましたか!
この速成な作りの階段でも、googleやマピオンの地図には載っているから不思議です。
暗渠本体は道として書かれていないのに。
今回のルートはすごく充実してますねー。
変わったところだらけで、すぐにも行ってみたくなります。
妙正寺川への排水口も見たことのない形ですね。
あー、面白い。行きたいなー。
投稿: 猫またぎ | 2010年8月13日 (金) 10時20分
>リバーサイドさん
あ、そうそう、そうなんです。史跡散歩地図も情報源でした。
この水路、載っている期間も短いし情報も乏しいし、松庵川みたいな幻っぷりで、想像力をかきたてられますよね・・・。
実は桃園川探検隊さまの別な地図で、日大二高のプールあたりを始点にしているものもあった気がするので、あそこから下は、もともと小川があったかもしれません。それを、もうひとつ湧水とくっつけて強力にしたのでしょうか。。う~ん、あれこれ想像しちゃいますね~!
>猫またぎさん
この階段、地図に載ってたんですか!w 知りませんでした。たしかにずいぶん存在感はありますが。でも超がんばってイタズラしようと思えば、一晩で無くなる階段かもしれませんよねw
後編のルートは、たしかに充実で、前編の2倍以上の分量となってしまいました。けっこうお勧めです。妙正寺川はだいぶ整備されてる印象で、穴もあまり残っていないので、この河口は貴重な気がします。河口部からちょっと遡るだけでも、楽しそうですよ。
投稿: nama | 2010年8月13日 (金) 22時38分