国立駅の北側を歩く
今回は、国立駅の反対側へとまいりましょう。玉川上水に近づけば分水はあるようですが、地図でみたところ駅近辺は水の気配がありません(う~ん、やはり暗渠とはあまり縁のない街?)。ツツツ、と地図を見て行くと、釘づけになったのはむしろ中央線から伸びる、引込線跡のようなもの!
よ~し、北側は、引込線の廃線跡さんぽじゃ~!
今回は、小雨が降ったり蒸し暑かったりと、お天気がいまいちでした。写真も色が微妙・・・。工事で見えにくいですが、中央線から分岐してくる名残があります。
そしてその先は、いきなり駐輪場。軌道に沿って、ゆるく弧を描いています。
駅前にある暗渠が駐輪場になっていることがわりにあるように、引込線跡も駐輪場になったりするのですね。いきなり暗渠との共通項発見です。
さらには車止めまで出現しますよ~。これ、暗渠ですよって紹介されたら、信じてしまいそうです。
しかし、ちゃあんと柵が残ってます。嗚呼、みごと。
こりゃ、暗渠じゃないですねえ。でも、廃止されたものの上に、別な用途のものができて、人によってはその歴史を知らずに使っている・・・、遺構や違和感のある場所・・・、ここらへんが近いですかねえ。
その先がびっくりゾーンです。
マンション横に、線路跡(白い柵の向こう側で、全方面から囲われています)。そして謎の階段が線路とマンションをピタッとつないでいる。マンション手前側の、階段と同じ素材の屋根がついてるところは、変電設備のようです。
”ちょっとした違和感”を通り越して、こりゃ異形です。すっごく気になります。
錆びた階段。階段の先は3階の廊下と踊り場にくっついています。何かを載せるの?鉄道関係者の住むところなの?何かの実験に使ったの??
うわ~~、なんだろこれ!
下にも回り込みます(しつこくてごめんなさい)。
3階の廊下とつながる、扉のようなものが見えますね。
はふ~~ん、謎です!
マンションの先、道路を渡ると、また柵があって、あとは延々近づけない空間です。
草がぼうぼうですが、線路が残っているのが見えます。
で、この引込線はどこにつながっているかというと・・・、鉄道総合技術研究所、でした!
ここらへんからだんだんと線路が増えてきて、なんかいろんな研究がおこなわれている場だったような雰囲気です。他のサイトを見ると、数年前はここに電車の車両みたいなものがいくつも置いてあったようですが、今は無いです。というか、ほとんど見えない・・・
こういった高めの柵で覆われています。見たいのになあ。
そういえば途中で思い出しました。昔、”院のOBでJRで研究してる人”の実験に協力したことがあります。わたしの専門からすると隣の畑だったんですが、JRにウチの領域の研究もあるんだな~、などと面白く感じた覚えがあります。
で、肝心の、何の実験に協力したか、っていう記憶はまったく残っていませんwwわれながら、恐ろしい記憶力の無さだな・・・
引込線は研究所の周りをぐる~~っと回っていたようなんですが、地図上で跡が残っているのは西側ばかり。その西側の角の部分に、こんなマンションが建っていて、屋上にいっぱいついてるアンテナがごつくて、気になります。
周囲をぐるぐる回って、引込線を覗けそうなポイントをさがします。おお、なんか変電所のようなものが。
ちなみにここの住所は、国分寺市光町。この「ひかり」は、この研究所で新幹線「ひかり」が開発されたことからきているのだそうです。鉄の方には当たり前の知識かもしれませんが、わたしときたら「うわー東芝町とか工場地帯みたい!!」と、もはや何萌えなのかわからなくなってくる興奮ぶり。
・・・で、研究所の正面まで行ってみりゃよかったんですが、この日もう1本廃線を見る予定だったので、そちらへと向かいます。カフェでもあったら寄りたかったんですが、見つからず。ソフトクリームが食べたかったですが、ミニストップも無く。。
次なる廃線、それは立川方向へ行くと出現する”立川飛行場引込線”です。現在は緑地になっていて、立川市部分は”栄緑地”ですが、最初に訪れた地点は国分寺市部分の”西町緑地”です。
この見た目、まるで暗渠の緑道ですね・・・違いは、谷部分ではないことと、緩くカーブはするけど蛇行はしないことくらいでしょうか。
「立川市史」によると、大正11年、立川に陸軍航空大隊を新設することが決まり、同年のうちに用地接取。立川には飛行第五大隊が駐屯することになりました。これにより立川は「空の都」となって人口が急増したとのこと・・・しかし、実は立川飛行場の民間飛行場としての利用が、立川の発展には貢献していたのだそうです。外国機が飛来し、それを見に一般客が押しかける(見物席もあったそう)、そんな光景が、昭和6年の軍用基地一本化(民間飛行場は羽田に移転)まであったのだそうです。
この引込線は、立川飛行場に資材を運搬するためのもので、戦後も米軍に燃料を運び続けていたとのこと。そして基地返還とともに廃線となりました。
飛行場と引込線については、imakenpressさんがお詳しいようすなので、ここもいつかimaken節で紹介くださったら良いなあ~~。
こんなのどかな場所も。凄い勢いで走っている若者、猫に餌をやるおばあさん、さんぽする夫婦・・・。
これが緑道の右側。そして左側には広大な敷地の中に、陸上自衛隊・航空自衛隊が居るのです。そしてその更に西に、ここで飛行機を製造していた企業”立川飛行機”の現在の姿である”立飛”の分身、新立川航空機の敷地もあります。
もっと北へ行けば、立飛企業の敷地があって、モノレール立飛駅まであるという気になるスポットですが、そこまで行く元気はない気がしたので止め。・・・立飛企業は、てっきり飛行機関連の会社かと思っていたら、現在は不動産賃貸業中心なんですね。ちょっとビックリ。
南砂小学校の裏門です。小学校の脇を掠めるのも、暗渠っぽい。
遺構はあまりよくわかりませんでしたが、踏切跡っぽい場所はありました。
しかし、ちょっと単調で飽きて&疲れてきてしまいました。どうも、支流暗渠に目覚めてからは、緑道に対する執着が減ってしまってます。駅はすでにはるか後方なので、バスを見つけて帰ります。
芋が好きなので、近くにあった”芋窪街道”がひどく気になりました。芋がごろごろ取れたのでしょうか・・・後で調べると、否、もとは”井野窪”だそうで、残念。しかし同じような農作物の名のつく地名なのに、”茗荷谷”と”芋窪”、前者の爽やかさと、後者の田舎っぽさは何なのでしょう。いや、大好きなんですけどね、芋。
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コメント
鉄道総研の廃線跡、ここは廃線としてはまだ新しい部類かもしれません。
国立駅で車窓から鉄道総研へ延びる線路をよく見たものでした。(車両が走っていたところを見たことはありあせんが)
鉄道総研の一般公開って今もやっているのかなあ。この記事読んで行きたくなってしまいました。
投稿: リバーサイド | 2010年7月 7日 (水) 22時22分
「井野窪」から「芋窪」に転じたというのは興味深いです。逆ならまだ納得できますが、なんでまた田舎っぽいほうに変わっていったのか。音も違いますし。あ、もしかしたらもっと前は「猪窪」だったかも。
廃線跡の駐輪場で、小田急の向ヶ丘遊園のモノレール跡を思い出しました。最近のlotusさんの記事の影響もあって、幼少時の縁の地を探訪してみようという気になってます。
投稿: えいはち | 2010年7月 8日 (木) 03時24分
こんにちは~~imakenpressです!
ううぉーーーっ、とnamaさんのレポートを読んで叫んで、パソコン画面にかじりついて、ニタニタしながら仕事中に事務所にいる私。(個人事務所で、今は二人しかいないので叫んでも問題ないですwww)
文書中の「飛行第五大隊が駐屯」と言うコトバを読んだだけでもコーフンしますー。
旧帝国陸軍航空隊の施設が数多くあった立川周辺はマジ萌えます。私もぜひ調査レポートしたいと思ってます!
ちなみに福生の基地周辺は20代の頃よく通ってました。(笑)
投稿: imakenpress | 2010年7月 8日 (木) 11時45分
>リバーサイドさん
おお、鉄道総研の一般公開、なんてのがあるのですね~!すごく面白そうですね。いやぁ、国立にそういった研究所があることすら知りませんでしたよ。
リバーサイドさんはあの引込線が現役のときも見ているんですねえ。
>えいはちさん
ホントそうですよね。芋窪スタートって思ってしまいますよね。井野窪、芋窪、猪窪、それぞれから浮かぶイメージが全然違っていて面白いですw
うぉー、向ケ丘遊園のモノレール跡なんてあるのですか。なんかそれ、かなりそそられる廃線です。行ったらレポたのんます!
>imakenpressさん
へへへ、ツボが近いようですねw
立川近辺は軍事モノ色々ありますよねえ~。中神のほうからも引込線あるんでしたっけ。色々ありすぎて、徒歩じゃ難しそうです。やっぱ自転車でしょうか。レポ待ってます~~!
投稿: nama | 2010年7月 9日 (金) 09時59分
こんにちは。
namaさんのブログを参考にさせてもらい鉄道総研の廃線跡に行ってきました。
namaさんは西側から回られたのですね。
私達は東側から回ったので、ちゃんと総研の正門とその向かいの「国分寺ひかりプラザ」に展示されていた新幹線試験車両の内部も見学できました。
投稿: 六三郎 | 2010年7月25日 (日) 16時05分
>六三郎さん
こんにちはー。おお、行かれたのですねぇ。
ちゃんと鉄道総研自体も見られたのですね、さすがです。。わたしは歩行を最短で済むようにしつつ立川の引込線も見ようとしたがために、どっちも中途半端にしか辿れませんでした。。
それと、この1カ月足らずの間にも風景が変わっていてビックリしました!そちらにもコメントさせていただきますね。
投稿: nama | 2010年7月26日 (月) 12時23分