柏の葉の水路を歩く
舞台は柏に飛びます。つくばエクスプレスの駅のひとつ、柏の葉キャンパスへと。
わたしはこの地に、5年ほど前から、なんとなく(仕事でだけれど)来ています。つくばエクスプレスが出来たときは、劇的なアクセス改善と、地下でも電波が入るという電車自体のすばらしさに感動したものでした。
もっとも頻繁に来ていたころは、柏の葉キャンパス駅は駅のコンビニ以外はほんとうに何もない場所でした。荒野の中に、真新しい宇宙船みたいな駅が、ぶっきらぼうに建っているだけ。それと、近寄ったことはないけれど、人の出入りが感じられないサーカス場が、駅前の空き地に、幻のように在っただけ。
その後、間を空けて来ると、来るたびにマンションや商業施設が増え、人を見かけるようになり、何もなかった空き地にポンポン建ってゆくそのさまが、シムシティのようでなんだかとても面白かったのです。(ほんとうは何かが失われているのだけど)何も失われることのないたぐいの”開発”は、わたしにはただただ面白かった。
・・・今回は、暗渠が好きになってからは初めての訪問です。水路を見つけ、歩くわたしの心境は以前とは少し違ったものになりました。
柏の葉の地形は、あまり凹凸がないように見えます。駅周辺に見つけたいくつかの水路は、地図上では溜池と用水路のように見えました。
けれどひとつ、正蓮寺にある池は自然のものに見えたので、まずそこを見に行くと・・・、このようにフェンスで覆われ、殆ど見えません。
鬱蒼としすぎていて、気味の悪さも感じます。杉並にかつてあった池などの記述を思い出し、ああきっと昔は杉並もこういう感じだったのだろうな、などと思いました。
池から離れると、用水路に出くわします。
もっともっと北のほうから、まっすぐやってくる水路ですが、このようにフェンスと大量の木々に覆われ、とても辿ることはできません。
その水路は駅前の通りの脇を通ってくれるので、ここらへんだけ、横を歩けます。
すぐ横にあるのだけど、やっぱり植物が多すぎて、近寄ることが出来ません。
水路は千葉大学の入り口でいったん暗渠になります。そこでお顔を拝見できます。
・・・あらら、水は枯れていました。
その、暗渠部分です。・・・さっきまでの景色と全然違う、ものすごい断絶された感じです。
道路の向かい側にあるのは、ららぽーとです。
しかし暗渠部分を過ぎるとすぐにもとの様子に戻って、
少し行くと、こんどは溜池のようなものがありました。
さっきの水路は溜池からやってきたのか、注ぐのか・・・、と思いながら水路のはじっこに目をやるのですが、暗くなってきてよく見えません。
・・・あ。空がきれい。
反対側にまわって目を凝らすと、水路のはじっこはこうでした。唐突に始まっているようで、溜池との接点が見当たりません。
やっぱり植物に覆われすぎていたり、フェンスが高すぎたりして、池の入口も出口もよくわからなかったです。
水もあまり湛えていなかったし、ここはもう用途がなくなってしまったところなのでしょうか。
駅前はまだまだ、なにかが造られていくようでした。
どこまで、柏の葉はあたらしい建物でいっぱいになっていくのでしょうか。
・・・いつまで、あの水路は見えているのだろ?急速すぎる開発を眺め、失われるかもしれない水路をみる・・・「この人はいつか死んでしまうんだろうか」と思いながら人に会う感じ(わたしはほんのときどき、そう思ってしまうことがあります。死期が迫っているのではなくても。)と少しだけ、感覚が似ているような気がしました。
こんなことを考えてしまったのは、夕暮れどきのさんぽだったせいでしょうか。
| 固定リンク
「1-9 さんぽ:その他の暗渠」カテゴリの記事
- 日本経済新聞の暗渠記事に取材協力しました(2020.12.31)
- ライフルホームズ、暗渠記事に協力しました(2020.12.04)
- 「暗渠」で味わう街歩きの進化形 記事の先にある細かい話(2020.09.28)
- 滝の川 足元を流れていた川のこと 暗渠カフェで暗渠ソング(1)(2020.05.16)
「2 地方の水路」カテゴリの記事
- いまなおのこる、あのドブ 【花色街:長野の暗渠編】(2015.08.25)
- 天井川のいまむかし(2014.12.26)
- ガーブ川を辿れた、と思ったら(2014.08.08)
- 宇治川は地下を流れていた(2014.02.24)
- 塩釜、おもいで、暗渠(2014.01.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
柏方面も行ったりするんだね!
駅ができると街というか雰囲気がガラッと変わるよね~。
私は、埋め立て地や新興住宅地よりも、地形の形がそのまま残ってるとことか、迷路みたいなとことか好きだなぁ~。
投稿: | 2010年6月10日 (木) 20時48分
あの辺りは少し前までは田園地帯だったのでしょうか。
用水路がはりめぐらされていたかもしれませんね。
水路の行き着く先は、手賀沼あたりなんでしょうか。
投稿: リバーサイド | 2010年6月10日 (木) 22時48分
あっ、リバーサイドさんの前にコメントしたのは、ポコでした(^_^)v
名前書くの忘れちゃった。
投稿: ポコ | 2010年6月11日 (金) 08時41分
>ポコさん
ふふ、最初のコメントもポコさんだって予想ついてたから、大丈夫よww(でも名前は必須になるように再設定してみようかな~)
ほんとう、駅ができた後の変わりようってすごいもんだねぇ。わたしも、迷路みたいなところのほうが好きだな~。
>リバーサイドさん
あいにく田園地帯だったころは見られていませんが、きっとそうなのでしょうね~。今回のものとは駅をはさんで反対側にある用水路たちは、どうやら手賀沼につながりそうです。(でも歩いて辿るのはきつそうです・・・。)
投稿: nama | 2010年6月11日 (金) 09時57分