開渠と酒のたび
最近PCに向かうじゅうぶんな時間がとれず・・・気づいたら10日ほど経っていました;。その間もネタは蓄積しています。まずは、一番新しいネタから行こうと思いますw
盛岡出張がありました。出張といえど、学会なので他の出張よりかは多少の時間の工面ができます・・・なので、手始めに岩手大学付近をぐーるぐる。
岩手大学、入るといきなり道路の真ん中に水路がありました! なんて良い大学なの~~・・・水路は、真っ直ぐ伸びた後ぷつっと消えました。何かの流れの一部なのか、循環させているのかは謎です。
それから、キャンパスの北端に池があるようなので覗きに行きました。ちなみに、上司や先輩が座長やらお仕事されてるのに敬意を表し、関係なさそうな講演のときなどにさんぽをしていますww
体育館の裏手に回ると、いきなり林が!その向こうには明らかに崖が!!・・・どっかの山にでも来たみたいですねえ。
崖下には、みごとな池が・・・!!
その名も”ひょうたん池”。
東大駒場キャンパスの、一二郎池を思い出しました。地形や雰囲気は一二郎池に似ていて、あれをもっとワイルドにした感じ。
ひょうたん形のうち、最北端部は水をたたえていませんでした。
これは、最北端をみたところ。向こうには道路があります。
その最北端部のすぐ右側には”狭窄射撃場跡”なんてのがありました!案内板によれば・・・、
学生に軍事教練が課せられていた時代(1925年~1945年)。この場所は訓練用の弾(狭窄弾)による射撃練習場だったとのことです。写真に写っているコンクリート製の構造物は”監的壕”といい、着弾した位置を監視するためのもので、壁と壁の間に人が入り、指し棒で着弾位置を射撃者に示した、とのこと。軍事教練の指導には現役軍人が当り、ここには大佐が配置されたのだそうです。指し棒、とやらで指す姿をイメージした時はなんかちょっとかわいらしかったんですが、大佐が相手では、学生さんたち怖かったんではないでしょうかねぇ・・・
池の、狭窄射撃場跡に対して左側にはこのように堰があります。それにつづき、真っ直ぐな水路が、蓋をされてつづいています。
池が満タンのときには、ここから水は流れ出てゆくのでしょう・・・
水は流れてはいないようでしたが、地面がぶにゅぶにゅして歩きづらかったです。
では、そのひょうたん池からの流れ(たとえ今は乾いていても)を追うべく、一度キャンパスを出ます。
出ると、おお・・・みごとな下り坂!
さきほど池の北端から見えていた天下一品も見えますね。
外側からキャンパス内を見ると、ひょうたん池からの暗渠の、キャンパスにおける最終地点であるらしき枡が見えました。もう、端っこの端っこですw
で、さっきの枡からつづく先が、この開渠!
あれれ、水が滔々と流れてますがな・・・。たぶんひょうたん池からじゃない流れが主みたいです。それも追おうかと思いましたが、ちょっとわかりませんでした。もしや大学入口で見たあの水路・・・?うーん、遠すぎてちょっとわからない。
ひとまずこの開渠さんを追いましょう。進む先は、北上川です。
北上川のささやかな支流、ってことになります。曇りの日でしたが、水面はきらきらしていました。
川沿いに道はないので、よその道を歩きながら橋のところで確認するのみ。
さきほどはガードレールでしたが、このような古くて素敵な欄干もありました。
北上川に注ぐ、出口はこうなっていました。まぁなんて可愛い・・・w
最後の3メートルくらいだけ、なぜかどうどうと暗がりに落ち、暗渠になってました。なんか怖くなって写真に撮れませんでした;
ところで、いまの北上川支流を追っている途中で素朴な和菓子屋さんを見つけました。
そこで”お茶もち”なる餅?を発見!見たことも聞いたこともありません!!こりゃあ、食べなければね。
ごへいもちみたいなものに、胡桃のペーストが合わさって、とっても素朴で美味しかったです!帰ってから調べたら、岩手の郷土料理とのこと。うわーん、知らなかった~~
で、もっかい大学に戻りますw
岩手大学の、こんどは南端。もうひとつ池があって、こちらは”北水の池”といいます。附属植物園の中にあるからか、整備されていますね。
ちなみに案内板によると、
1960年代に破砕転圧工法を応用してつくられた土池(つちいけ)。石垣は水辺を美しく、垂直に保つためのもので、池の水は石の隙間から石垣裏面まで自由に出入りします。つまり水を貯めているのは土の層であり、この池は「土池」ということ。ただしこの土池は、地下水が湧いてくるまで掘り込む(ここは地下水面が地底より1m以上下方にあるので湧かない)とか、川の流れを引き込むとかではなく、池の脇に5mほど掘った井戸からの噴水と雨だけを水源にしている点で特徴的。
漏水(この池ではコンクリート池よりも少ないか同等)<噴水なので、これだけでまかなえるのだそうです。その場所の土だけを用いるので工費が安く、環境にも悪くない・・・この工法は農林水産業用の溜池造成に応用されます、とのこと。
めちゃめちゃ人口の池でしたw けれど、説明がなんだか興味深かったです。北のひょうたん池とそこからの流れ、南の北水の池とその工法・・・大学内でもなかなか楽しめました。
その後、岩手に住む友人と夕食&呑みへと行ったのですが、その友人がセレクトしてくれたお店が、もうすんばらしいこと!
どーん。北上川が目の前!!(というロケーションで、並んで座る席。すばらしい!)
ベアレン、というビール醸造所直営のレストランで、そのベアレンでは季節のビールなんかも造っているとのこと。メニューの”ほおずきラガー”(だいたい、ほおずきを食すのだって未体験だし)に心を奪われましたが、もう終わっちゃいました、とのこと・・・
次なるすてきビールは、これです。なんだかわかります?
ホットビール!!
ホットなんだけれどビールらしさは失われず、黒ビールの独特な風味(でもとても飲みやすい)と、こまやかな泡があたたかくやさしい飲み物!!
シナモンも添えられて。
うわーこんなの知らなかったよう。また飲みたし・・・
と、夜は更けまして、ここからは翌日の朝さんぽ。
今度は盛岡の東南のほうに、”清水”とか書いてあっておもしろそうな場所があるので、なんかよくわかんないけど行ってみることにしました。
”大慈清水(だいじしみず)”。
むほー!!なんじゃこのプールみたいなのは!?
用水組合が管理している井戸だそうです。「一番井戸 飲み水、二番井戸 米磨ぎ場、三番井戸 野菜・食器洗い場、四番井戸 洗濯物すすぎ場」と、上から用途が決まっていて、そういう木の板がぶら下がっているのがまた素敵でした。
ここではわたしはかなり興奮してしまい、かなり写真を撮ってしまいました・・・。
近所の方々が次から次へと水を汲みに来ていました。とても澄んだ、きれいな水で、一番上のやつは飲めるんだそうです。飲んでみると、くせもなく美味しかったです・・・
大慈清水をもう少し歩くと、通りの奥に日本酒の酒蔵さんらしき立派な建物が。
「岩手川」、見学の方はこちら、などと書いてありますが、人の気配はなく、廃墟感ただよいます。調べてみると、ここは2006年に閉じてしまった酒蔵さんだそうで、この建物も取り壊しの話が出ているとか・・・もしそうなってしまったら、本当に勿体ないことですね。。
更にもう少し歩を進めると、今度は現役の酒蔵さんが現れます。「あさ開」。こちらは大きくてきれいな工場に、併設のショップとレストラン・・・人がいっぱい居ました。
できたての大吟醸を一杯、味見したら飲みやすくって美味しかったです。
あさ開近辺は寺町になっていて、お寺のまわりをぐる~っと回るようにして歩いて行くと、今度は”青龍水”が現れます。
もともと観光用地図で”青龍水”って見ただけでかなり括弧良いと思っておりまして(そもそも青龍が格好良い!)。おー!ここも大慈清水同様の井戸でしたか!!しかもちょっと地味で、それがまた良いのです~~
青龍水にも地元のおじさんがひとり、水汲みに来ていました。ここでも写真を撮ってはウロウロしていたら、「水、飲んでみる?」と・・・わー、やさしい~~!
ちなみにこの写真の右側が青龍水、左側がお寺の塀なんですが、どうもこのお寺の塀の付け根に昔水路があったようにな気がしてしまいます。だって、このラインを延長していくと、
ほら・・・橋。
違うかなあ、たんなるお寺の入口の装飾なのかなあ。まあ、私的には水路があったと思えるほうが幸せなので、そう思っときますw
そんでさらに歩いて行って、”白龍(パイロン)”でじゃじゃ麺を食べました。(ちなみに冷麺は前日に2回食べてますw。)
岩手の友人いわく、じゃじゃ麺の半分は思い出でできている、ということで、、、調味料を”自分専用”配合にしてこそのじゃじゃ麺なのだ、と。そういやわたしも幾つかのラーメン屋さんでは自分配合だ。なるほどねえ。
初・北上川のほか、水関係のいろいろと、いつものように酒と食べものにまみれた旅でした。
| 固定リンク
「2 地方の水路」カテゴリの記事
- いまなおのこる、あのドブ 【花色街:長野の暗渠編】(2015.08.25)
- 天井川のいまむかし(2014.12.26)
- ガーブ川を辿れた、と思ったら(2014.08.08)
- 宇治川は地下を流れていた(2014.02.24)
- 塩釜、おもいで、暗渠(2014.01.02)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
いやー、ほんとに「水と食に恵まれた」出張でしたねー。(もしかして、そういうところだけ出張先に選んでませんw?)
街角の井戸がすごくいいですね。こんなの見たことありませんでした。しかも現役でコミュニティの中心になっている(?)のがすごく素敵です。
「破砕転圧工法」という専門用語もすごく格好いい!!
投稿: lotus62 | 2010年5月14日 (金) 13時21分
ほんと~素敵な出張だったね!お茶もちはウマイの?ベアレン、ぜひとも行ってみたい!!
私も就職したら出張とかあるみたいだけど、趣味が楽しめるとこに行きたいわん(^o^)
投稿: ポコ | 2010年5月14日 (金) 19時42分
いいなあ、こんな出張。一度やってみたいものです。
井戸、かなり萌えます。こんなの東京近辺ではないのでしょうね。まだここで洗濯する人っているんでしょうかね。
投稿: リバーサイド | 2010年5月14日 (金) 19時54分
いいなあ、盛岡。
宮沢賢治ファンなので、イーハトーブには反応してしまいます。
我が「写真館」にも盛岡風景、少しだけあります。
http://ei8at12so.sakura.ne.jp/2007/05/201.html
一番井戸、二番井戸…、こういうのも大好きです。
岐阜県の郡上八幡をTVで見てこのシステム知りました。
そちらでは「水舟」と呼ばれてるそうです。
投稿: えいはち | 2010年5月15日 (土) 08時47分
「あさ開」試飲されましたか。(^^)
むかし高円寺の南口に「啄木亭」という居酒屋さんがあって、そこで「あさ開」を飲んでファンになりました。
つまみは山椒魚とかありんこの佃煮、油揚げの中に刻んだネギを入れた焼いた「啄木コロッケ」などでした。
投稿: 六三郎 | 2010年5月15日 (土) 21時16分
>lotus62さん
選んでませんよ~、たぶんww なんだか何処へ行っても、水関係のおもしろいものはありそうな気がしてきてます。
井戸いいですよね!近所の人がつぎつぎ集まってきていました。
>ポコさん
お茶もちはね、胡桃餡のお団子ってときどきあるでしょ?あれにもうちょっと歯ごたえプラス、しょうゆの風味プラスという感じだった。たいへん好みでした!
おおー、出張あるんだね。時間捻出してなにか面白いことしてして~~。
>リバーサイドさん
東京近辺でってどうなんでしょうね。洗濯はおろか、水汲み以外の人を今回見ることはできませんでした。お米を研いだり野菜を洗ったり・・・しないのでしょうかね。して欲しいですね、なんだか。(たしかお隣に八百屋さんがあったような。)
>えいはちさん
をを!わたしも宮沢賢治ファンです。ゆかりの地に行かれていましたか。さすが、写真が素敵です・・・。わたしは今回はゆかりの地にほとんど行けていませんが、唯一岩手大の農学部旧校舎=一時期賢治が学んでいた、というのは横を通って人知れず興奮していました。その校舎の前に、人工の土池「北水の池」があったというわけです。
水舟、って素敵な名前ですね。「プール」しか思いついてない自分の平坦なアタマ・・・w
>六三郎さん
はい、大吟醸を少々w ほんとはもっと飲みたかったですが、その後にシンポジウム、東京戻って仕事、と、飲める感じじゃなかったので、残念でした。
あさ開、長いファンでいらっしゃるのですね。わたしはよく知らなくって、工場に着くまで「あさかい」と読んでいました;;しかしその啄木亭はすごいですね!つ、つまみがぁ~~~! さすが高円寺です。そういえば先輩が阿佐ヶ谷で蟻を食べたって言っていました。蟻食文化があるのでしょうか、中央線・・・
投稿: nama | 2010年5月17日 (月) 09時56分