仏さまも見ている
天神川を見つけた古地図ではうれしい発見がいっぱいあって、そのひとつに、なにもないと思っていた中野~新井薬師間に一筋、見つけられたということがあります。中野区の上高田を通って、妙正寺川に注ぐ支流。陸軍中野支流みたく良い名が思いつけばよかったですが、とくに降ってはこなかったため、地名をとって「上高田支流(仮)」としておきます。
新井薬師あいロード沿いに、お気に入りの飴やさん「パパブブレ」があるので、そこで飴を買い、飴職人さんが飴をつくるところを見てから行きます。DEAN&DELUCAあたりにも出してるらしいんですが、店舗に直接行かれることをお勧めします!店舗には試食もアウトレットもあるし、なにもかもカワイイそしてカッコイイ。飴自体もおいし~いです。日本唯一の店舗が、中野だなんてウレシ~じゃないですか。
飴作りを見すぎたか、予定時間よりちょいと遅れて上高田支流入口に到着。(後日、もっと上流部があることが判明しましたが、この時点ではここが入口、と認識してました・・・。)”柳通り”に面したコンビニの隣に、かなりそれらしき空間が広がっています。
じつは、最初コンビニの逆サイの道を間違えて歩いてしまい、「なんか違う気がする」と引き返してのリ・スタート。
でもこの道を通っているときに、間違えたほうの道で声をかけた猫とふたたび出会いました。堂々と寝、堂々と歩いていました。パトロール中だったのでしょうか・・・?
道は良い感じに狭く、湿り、カーブを描きます。
大妻中野高の脇に差し掛かると、花壇があってちょっとだけ豪華になります。
横に伸びる支流暗渠?
工事の跡が、 凸・・・凸・・・
こんなふうな狭いいかにもな道がず~っと続きます。ただ、今までの狭い暗渠道となんだか違うのは、”やたらと人が通る”、ってことです。
自転車のひと、歩くひと、たくさん追い越され、すれ違いました。なんでだろ?・・・ひとつの答えは、この界隈は行き止まりやカクカクな道が多く、数少ないまっすぐ(?)伸びる道のひとつが、この暗渠だということです。
では、なぜ他の道がそんなにも意地悪なのか・・・ひとつの予想できる答えは、以前の上高田のようす。以前ここいらは農村で、欅などの木々に囲まれた広~い敷地をもつ家が、ぽつ、ぽつ、と建っていたのだそうです。その区画の名残ではないでしょうか。などと、郷土の史料を読みながら考えていました。
ちなみに上高田は、沢庵漬の産地だったのだそうです。ぽつ、ぽつと建つ家には竹林を持つものもあり、筍を取って食べたりもしたそうです。そんな、家や、欅や竹林や、大根畑や、沢庵や筍ご飯や焼筍や(←妄想・・・)・・・、その合間を、流れていくちいさな川や・・・。
な~んて、ほのぼのとした想像をしていると、いきなりこれが現れるんです。
ぶほーーっ、こっ、これは・・・庵魚堂さんが書いてらした、あれではないですか・・・!!大根畑もぶっ飛びます・・・ヒィィ。
たしかにそうなんです、ここらへん、お寺ばっかりなんです。お寺ばっかりなことへは覚悟できていました。が、この石垣には全然覚悟できてませんでした!
なんだか、すぐ立ち去りたいような、去りがたいような。へんな気持ちで、写真を撮り撮り、背後の猫を愛で・・・。
すぐに石垣は”ふつうの石垣”に戻ります。ああ、ふつうの石垣の道は、安心だなあ、とか思っていると、その石垣が小学校の敷地に入り、流路が追えなくなります。
ちなみにお寺エリアにはこんな標語がありました・・・
「ちょっとまて 仏も見ている この町は」
さて、小学校を迂回し、再び流路を探すと、こんどは落合斎場の脇を通り、さらに斎場の土地をトンネルでくぐる、そんなエリアがあります。道はあいかわらず、細くてじめじめなのです。ううー、これも怖い!ってんで、写真は撮りませんでした・・・。
その先、しばらく暗渠は”上高田”と”上落合”の境界を進みます。つまり、中野区と新宿区の区境。HONDAさんの仰っていた区境の暗渠は豪華説、はやくも体験できることとなりました。たしかに、ツギハギの、うすら汚れのみち。暗渠好きにとってはウレシイかぎり!
しかしその先、商店街が出現すると、暗渠が追いにくくなります。私は当初はそのまま区境を進むのでは、と思っていたのですが、いざ現場へ行ってみると、商店街を流れるほうが、川筋としては自然に感じました。途中、銭湯もありましたし。レンガ壁の、三の輪湯。うわー内装すごいっすね・・・w
なのでそのまま商店街から妙正寺川へ出ます。さてさて、出口の穴はっと・・・
あれれ、商店街の道ではなくて、区境のところに出口がありました。
う~ん、区境が正しいのか、もしくはどこかの年代で流路が変わったか、付け替えたか・・・ですかね?(河口までは古地図に載ってなかったのでした。)
ともかく出口まで見られたので、引き返します。帰りは、すこうし違う道を通ったりして、観察しながら帰りました。すると、柳通りを越えたちょっとさきで、水のチョロチョロ流れる音が・・・近付いてみると、会社の敷地の中にこのような新しいお社があり「岩清水弁財天」とあります。岩清水!!
水はフェイクでしょうけど、そして今のところ史料も見つかりませんが、むかし湧水があったかのようなこの感じ!!・・・考えてみれば、上高田支流(仮)の水源については、ノーチェックでした。ここ、ってこともありうるのかな~~?
そういうわけでこの上高田支流(仮)、出口もはっきりしなければ、入口もはっきりしないのでした・・・。いつか、近い未来、に、つづきます。
今回の行程は以下。この略地図サービス、3月で終わってしまうようです、う~む残念。
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コメント
このタイトルは何???と思って読ませていただきましたが・・・ああ!あの石垣ですね!!!すごい!それに加えてその標語ですかっ;;;
当然「仏」というのはダブルミーニング、なんですよねw?
ものすごい訴求力と矯正力に溢れるメッセージですねww
投稿: lotus62 | 2010年1月25日 (月) 18時50分
この記事を見た瞬間、「あー、namaさんにまた先を越されちゃった」と思いました。最近、妙正寺川ネタがご無沙汰なのでひそかに狙っていたんですよ。
面白そうな暗渠ですね。参考にさせていただきます。
投稿: リバーサイド | 2010年1月25日 (月) 20時51分
>lotus62さん
「仏」は、書いた本人がどう意味していたかはわかりませんが、受け手としては、やっぱりそうなりますよね。しかもあんな場所で、、、感動するようなシャレにならないようなw
最初は笑っちゃいましたけど。読み手の心から離れない、すんごい標語ですよね・・・。
>リバーサイドさん
ふふふ~、私にしては珍しく妙正寺ネタでした(私もリバーサイドさんにはいくつも先を越されていますよw)。エリア的になんとなく桃園川に向かうような気持ちでいたのですが、ゴールはうんと北でしたねえ。
ここは、やたらとあの世とつながっていってしまう、独特な暗渠という感じがします。妙正寺川自体お初に近いですが、私の中ではもとからお坊さんイメージだったので、このような支流が妙正寺川に注ぐという不思議。
ぜひ行ってみてください!
投稿: nama | 2010年1月25日 (月) 21時23分
お~新井薬師!
私は新井薬師の中野方面じゃない方しかあまりいかないけど、その飴やさんとやらには行ってみたい!
いつもブログの趣旨にそぐわないコメントでごめんね…笑(-_-)
投稿: ポコ | 2010年1月26日 (火) 08時12分
>ポコさん
いえいえこのブログの趣旨の1つなので大丈夫!w ありがと~~。
新井薬師出のT氏は、この飴屋さん知ってるかね?海外にも何店舗かあるんだよ。ふたりで行ってみるのも、また一興。
投稿: nama | 2010年1月26日 (火) 12時12分
この支流へは、わたしの暗渠の師匠に連れていかれました。
桃園川の支流の時も、松庵川の時もそうでしたが、「面白いところに連れてってやる」と事前の情報なんもなしに連れて行かれます。目隠しされないのが唯一の救いです。
わたしが現場を見てその凄さに圧倒され、これはどこに続いているのですかなどと訊いても、「よくわかんない」とか「思い出せない」としか返ってきません。師匠はそういう人です。多少脚色してますが実在の人(笑)
> 「ちょっとまて 仏も見ている この町は」
なにを待つんだか(笑)
あ、これ交通標語なんですね‥‥。
東京じゃありませんけど、いかーにも治安の悪そうな場所で「防犯モデル地区/やめよう暴力・覚せい剤」とか、タクシーの営業所内に「乗車拒否は絶対にしません」とか。
考えてみたら簡単なことですけど、やるやつがいるから標語になるわけなんですよねえ。
そういうのを連想してしまいました。
投稿: 庵魚堂 | 2010年1月26日 (火) 14時29分
>庵魚堂さん
お師匠さんおもしろいですね~、その誘われ方ってとてもワクワクです!松庵川といいこの支流といい、もうず~っと前から知ってらしたわけですね。はぁぁ、先輩方にはほんとかなわない、と思い続ける日々ですが、もっともっと先輩がいるのですね~。
「ちょっとまて」を見たとき、それを読んでビクッとしているコソ泥、を連想してました。そっか、交通標語・・・?営業所内の乗車拒否はしません標語も、けっこうおもしろいものがありますねえ。
投稿: nama | 2010年1月26日 (火) 14時53分